現在、開催中のデフリンピックにちなんで、手話の特集を手話と字幕を付けてお送りします。
皆さん、手話に触れてみませんか。
17日開催されたデフリンピックの男女混合リレー。
鹿児島国際大学3年の島倉杏奈さんはアンカーを務めました。
ある日の昼休み。
島倉さんは生まれつき耳が聞こえません。
楽しそうですが、手話が分からないと話についていけません。
友人の東垂水さんに何を話していたか聞いてみると・・・
東垂水優陽さん
「私は杏奈ちゃんに彼氏がいることは知ってたよ。LINEのホーム画面そう(彼氏)じゃない?」
島倉杏奈さん
「そうです」
東垂水さん
「(彼氏は)県外?」
島倉さん
「遠いんだよね。寒いところと暑いところだから全然違うんだよね」
島倉さんの彼氏の話で盛り上がっていたそうです。
手話を使って会話を楽しむ東垂水さん、島倉さんとの出会いがきっかけで手話の勉強を始めました。
東垂水さん
「私が手話を勉強していることを杏奈ちゃんはどう思う?」
「(島倉さんは)『とってもうれしい』って!。『スマホとかを使わなずに話せることがうれしい』し、『手話で話したいと思っていたのでうれしい』と」
昼食を終えた島倉さんは午後の授業へ。
スマートフォンの音声認識アプリを使って授業を受けます。
教授
「一番分厚いところでは100m堆積しています」
しかし、漢字の変換がうまくいかないことも。
今回の場面でも「タイセキ」の変換が間違っていました。
島倉さん
「授業の時に手話通訳が入っているといいなと思う。楽に授業を受けられるのでは。みんなが話していることが分からなくても『まあいいか』と。寂しさはあったけど、だんだん慣れてきたらその気持ちもなくなる」
島倉さんに必要な手話通訳。
この日、鹿児島市で開かれていたのは手話通訳者の養成講座。
毎週2時間。受講生は仕事をしている人が多いため講座は夜や土日に行われます。
受講者
「職場にろう者がいてコミュニケーションができればいいなと」
「(仕事先に)ろう者が来た時に、使える手話が『ありがとう』だけだった。その時にすごく悔しい思いをして『勉強できる場所を教えてください』と筆談でお願いして教えてもらった」
手話通訳者になるには一般的に5年は必要とされ、県内の過去5年の合格率の平均は10%未満。
県手話通訳問題研究会の横溝会長は高いハードルに加え、資格をいかした仕事が少ないことが大きな課題と話します。
県手話通訳問題研究会・横溝和恵会長
「手話通訳の雇用の場もないし、多いのは派遣だが、派遣もボランティアの範疇。これから5年後10年後を考えた時に、このままの状況を引きずっているようでは本当に通訳者がいなくなる」
若者が手話に触れる機会をいかにして増やすかー
枕崎高校では1999年から選択科目の一つに手話を導入、生徒たちは毎週2時間手話を学んでいます。
生徒
「手話を使うドラマを見たことがあって、手話を使えたらいいなと思って選択した」
「『楽しい』とか動かす手話が好き」
「手話が使えたらもっと色々な人と友達になれるかなと思っているので学んでいきたい」
枕崎高校で手話を教える上江七美さん
「手話は福祉ではなくて言語の一つ。伝えたい・伝わる、その気持ちを大切にして会話してほしい」
鹿児島女子短期大学の手話サークル。
保育士や教師を目指す彼女たちは手話の歌を練習しています。
実際の手話とは異なる部分もありますが、手話を学ぶきっかけにはなっているようです。
学生
「歌いながらの単語を覚えている段階なので、少しでもコミュニケーションができるように技術を身につけたい」
耳の聞こえない島倉さん。
島倉さん
「私は発語があまりうまくなくて手話だけが身についているので、伝わらないことがたくさんあるし、伝えたくても伝えられないことがある。手話に触れてみてほしい、経験してみてほしい」
東垂水さん
「正解の手話をしないといけないわけではないというのが今まで勉強してきて分かったので、もっとハードル下げていいのかも。口元で読み取ってくれる人もいるし、それプラスちょっと手をつけてみようとか、ちょっと動きつけてみようから始まるのが手話なのかなと思っているので、会話を楽しんでほしい」
音のない世界をつなぐ「手話」。
魅力ある言語の一つとしてまずは手話に触れてみませんか。