11月15日開幕した4年に一度の耳が聞こえない・聞こえにくい人のスポーツの祭典「デフリンピック」。福島県のJヴィレッジではサッカー競技が行われているが、双葉町の伝承館では、震災語り部の講話で手話通訳を取り入れる新しい試みが行われている。
■伝承館の震災語り部講話
伝承館で行われている震災語り部講話。言葉だけでなく、手話で被災体験が伝えられている。「津波の発生後、警察・消防団・消防署の方々・皆、救助に向かいました。『助けて・助けて』と聞こえる声に皆さん一生懸命、力を振り絞って、救助に駆けつけました」
■手話通訳付きで震災を伝える
デフリンピックの開催にあわせて、聴覚障がい者など多くの人に被災体験を伝えようと、初めて行われたのが手話通訳を付けた震災語り部の講話。この日、語り部を担当していたのは震災当時、双葉町の介護施設に勤務していた岩本美智子さん。岩本さんは「私、手話とか出来ないんでけど、より多くの人に聞いていただきたい。国が目指すように共に生きる・共生社会作りの一躍を担う事が出来たと思っています」と話す。
■デフサッカーの元代表選手も
手話付きの講話を真剣な表情で聞いていたのは、芹澤育代さん。デフリンピック・サッカー競技の元女子代表で、サッカー日本代表の応援の合間に訪れていた。芹澤さんは「実際に体験した人の話を聞いて、これからも他の人達に繋げていきたいと思ったから来ました」という。
芹澤さんはデフリンピックを通して、聴覚障がい者などへの理解や支援が更に、進むことを期待している。「障がいがある・ないは関係なくて、その人と話をしようという気持ちがあれば、ピンと来るので、それにあった(コミュニケーションを)一緒に考えながら、やりとり出来たら良いなって思いました」と話す。
■手話通訳の人もやりがい
手話通訳の2人も震災を伝える難しさを感じながらもやりがいを実感していた。
滝田真紀さんは「震災という苦しい気持ちであったりとか、その時の状況を手話にどう表現しながら伝えなくちゃいけないのかなってことを考えていました」と話す。また、富山里美さんは「聞こえる人と聞こえない人が同じ場所で、同じことについて色んなことを話し合ったり、質問されたことに答えたり、同じ時間を過ごせるっていうのはとても大切なことだったんじゃないかなと思います」と話す。
手話付きの震災語り部講話は、11月24日にも行われる。