2022年に安倍元総理大臣を銃撃して殺害した罪に問われている山上徹也被告(45)の裁判員裁判では13日、旧統一教会の信者である母親の証人尋問が実施された。

母親はついたてによって、傍聴席からはその様子が確認できない状態で証言した。

そして尋問の中では、母親が旧統一教会の信仰を巡って、自身の父=山上被告の祖父と対立関係になったことや、山上被告が中学生のときには、母親が子供3人を置いて教団の行事で韓国へ渡っていたことが明らかになった。

■旧統一教会への恨み「募らせたのは、兄の死に対する母の理解が原因」

山上被告はこれまでの裁判で安倍元総理の殺害などを認め、弁護側が銃刀法違反など一部の罪の成立などを争っている。

山上被告は逮捕された当時、「母が入信する旧統一教会とつながりがあると思い、安倍元総理を狙った」と供述していた。

そして初公判直前の先月上旬、山上被告は弁護側の関係者に対し、「旧統一教会は母の問題で、兄が亡くなるまでは、自分の人生を生きていこうと決意していた。教団に恨みを募らせたのは、兄の死に対する母の理解が原因だ」と話していたことが分かっている。

■床の間に旧戸井津教会の絵を飾り 山上被告祖父は「出ていけ」

母親への証人尋問の初日となった13日には、旧統一教会への信仰を巡って、母親とその父=山上被告の祖父との関係が悪化していった経緯が語られた。

<山上被告の母親の証人尋問より ※母にとって父だが、以下全て「祖父」と表記>
(Q.徹也さんが中学入学後の94年ごろ、どんな家庭状況だった?祖父との関係は?)
【山上被告の母親】「絵画を床の間に置いたらえらい怒られた。『出ていけ』と言われた」

(Q.なぜ怒った?)
【山上被告の母親】「それが教会のものだったから」

(Q.祖父が母親が信者だと知ったのはいつ?)
【山上被告の母親】「いつかな。93年とか94年に韓国に行く、修練会があったので、その頃か」

(Q.韓国に行くことを知っていた?)
【山上被告の母親】「はい、言いました」

(Q.祖父は許したのか?)
【山上被告の母親】「祖父は『行かんとけ』とは言ったが、激しく反対はなかったので行った」

■信仰のため韓国に行った母親 祖父は包丁を持ち出し子供たちに…

(Q.子供たち3人はどうしていた?)
【山上被告の母親】「私が帰ってから、父も子供も騒ぐことはなかったが、(山上被告の)妹から聞くと、父が包丁を持ち出したり、『私の育て方が悪かったから、家を出て行ってくれ』と土下座したりしたと聞いた」

(Q.大きな原因は何だと思うか?)
【山上被告の母親】「私が教会に行ったからです」

(Q.おじいさんが出て行けと言うことや大きな衝突は何回ありましたか?)
【山上被告の母親】「2回」

(Q.どういう状況で?)
【山上被告の母親】「1回目は韓国に行ったとき。もう1回は絵画を買って床の間に置いたら、怒って『出て行け』と」

(Q.言われただけか?)
【山上被告の母親】「はい、翌日には普通に暮らしていた」

■山上被告の母親 子供置いて韓国へ行ったことも「食事は3日分作って冷蔵庫に」

(Q.韓国にどのくらいの頻度で行ったか?)
【山上被告の母親】「93~94年に“修練会”で3回、うろ覚えだが行ったと思います。その他はあまり覚えていないです。父が亡くなってから行ったかもしれない」

(Q.帰ってきたときに祖父は怒ったか?)
【山上被告の母親】「それほど怒らなかった。ただ黙っていた」

(Q.子供たちから『韓国に行かないで』というお願いはなかったか?)
【山上被告の母親】「記憶がありません、私は行くことに一生懸命だったので覚えていません」

(Q.山上被告の兄(実際には実名)15歳、徹也さん14歳、妹10歳で、子供を置いていったのか?)
【山上被告の母親】「はい」

(Q.世話は誰が?)
【山上被告の母親】「父がしてくれていました」

(Q.前もって言ったのか?)
【山上被告の母親】「そう思います。食事は3日分作って冷蔵庫に入れて行きました

(Q.黙って勝手に行ったことは?)
【山上被告の母親】「父が生きている間はないと思います、わかりますから」

関西テレビ
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