寒い季節になると恋しくなる温かい食べ物。11月に入り日に日に寒くなってくる中、今回は富山県南砺市福光にある100年以上の歴史を持つ老舗『春乃色食堂』の冬の定番「おでん」を紹介する。少し甘めの出汁が染み込んだ具材の数々は、一度食べるとくせになる味わいで多くのリピーターを生んでいる。

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100年以上愛され続ける大衆食堂

大正12年創業の『春乃色食堂』は、建物からも歴史が感じられる。100年以上地域の人に愛されてきた大衆食堂で、店内には昭和の雰囲気が色濃く漂っている。

店頭に並ぶおでんは具材が豊富で、出汁がしっかりと染みている様子がうかがえる。店主の田畠大輔さんによると、来店客のほとんどがおでんを注文するという人気ぶりだ。

人気の具材は「焼き豆腐」と地元ならではの「まるやま」

おでんの具材で特に人気があるのは「焼き豆腐」と「まるやま」だという。「まるやま」は呉西地区ならではの具材で、かやく入りのがんもどきのこと。一般的ながんもどきより大きく、中に具材がたっぷり入っている。

出汁へのこだわりを聞くと、「昔から継ぎ足しで。しょう油と砂糖、カツオ節で出汁を作っています」と田畠さん。春乃色食堂のおでんは少し甘めの味付けが特徴で、その甘さがくせになる。

実際に人気の「焼き豆腐」は分厚く、噛むと出汁がジュワっと口の中にあふれる。「まるやま」はボリューミーで食べ応え十分。おかわりしたくなるような味わいで、ご飯と一緒に食べる客も多いという。

おでんはテイクアウトも可能だが、量に限りがあるため前日までに連絡が必要とのこと。

三代目が受け継ぐ伝統の味

先代の田畠さんの祖父が長年食堂を切り盛りし、2008年に現在の三代目・大輔さんが店を引き継いだ。

「小さい頃から、夏休みなどでじいちゃんばあちゃんの手伝いをしてて、店やるのもいいかなと思ったのが最初なんですけど…。おじいちゃんおばあちゃんも高齢になってきて店を続けるのも難しくなってきたというところでこの店がなくなってしまうというのも少しさみしい部分があったもので、自分が続けていけばもっと店も残っていくのかなと思って(自分が)やっていこうかなと思った」と店を継いだ経緯を語る田畠さん。

実際に店を継いでみての感想を聞くと、「最初常連の方に『味が違うんじゃないか』と言われたこともありながらも、おじいちゃんおばあちゃんの味を守りつつ自分の味っていうものをだしながらやってきたつもり」と答えた。

おでん以外の人気メニュー

人気のおでんのほか、先代の味を受け継いだ「中華そば」も人気メニューの一つ。シンプルな具材に透明なスープは、どこか懐かしさを感じる素朴な味わいだ。

三代目の田畠さんは、お店も可能な限り現在の雰囲気を残していきたいと話す。古き良き時代の面影を残した店内で味わう伝統の味は、多くの人を魅了し続けている。

(富山テレビ放送)

富山テレビ
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