栽培歴30年…91歳の“スーパーウコンじい”

新潟・三条市の下田地区。民家の裏に生えていたのは…

山崎一一(かずいち)さん:
1m80cmか、2mくらいあるでしょうね

この記事の画像(24枚)

おじいちゃん1人がすっぽり隠れてしまうほど背の高い謎の植物。
はたしてその正体は…?

ーーこの植物は何ですか?

山崎一一さん:
ウコン!

根元を掘ってみると、出てきたのは黄色い芋。
カレーのスパイスや、二日酔いに効く香辛料としてもおなじみのウコンだ。

そして、このウコンを栽培しているのが、ウコン農家の“スーパーウコンじい”こと、山崎一一さん、御年91歳!

山崎一一さん:
30年間、ウコンで健康でおられます

寒さに弱く、主に暖かい地域で栽培されているウコン。
山崎さんは退職後の1989年に旅行で訪れた沖縄県でウコンと出会い、30年以上にわたって雪国の新潟でウコンを作り続けている。

山崎一一さん:
(店員に)「どうやって食べるか」と聞いたら、「これは薬草で、四百四病に効く薬だ」と。健康のために作り始めた

こちらの切断機は、山崎さんがウコン用に改造したもの。

山崎一一さん:
この板で厚さを調整できる

雪国でウコンを栽培している例はなく、最初は全てが手探りの状態だった。
試行錯誤を続けること約5年。電気毛布を使い、沖縄の気温に近づける苗の栽培方法や、収穫した芋を粉にするまでの工程を確立。

「より多くの人に健康になってほしい」と道の駅などでの販売も始め、雪国でのウコン栽培のパイオニアとなった。

山崎一一さん:
福島・山形・茨城だとか色んな方が車で来て、作り方を教えたり、最近は人様から“無くなった”“持ってきてくれ”という注文があります

そんな山崎さんの挑戦は、街にも刺激を与えている。

三条市でカレーなどを提供する「三条スパイス研究所」。
店の隣にあったのは、小さなウコン畑だ。

三条スパイス研究所 堀田麻衣子さん:
毎年毎年つないで、今年で(栽培)5回目になります

山崎一一さん:
最初のころは良かったけどね

三条スパイス研究所 堀田麻衣子さん:
いや、頑張ってますよ(笑)

三条スパイス研究所の堀田麻衣子さんは5年前、店の構想を練っていたときに山崎さんのウコンと出会った。

三条スパイス研究所 堀田麻衣子さん:
直売所で一番売れている商品が、山崎さんのウコンを使った加工品だった

その後、山崎さんから栽培方法を教わり、分けてもらったウコンの株を自家栽培してカレーに使用した。

三条スパイス研究所 堀田麻衣子さん:
三条のウコンというものを「ぜひカレーで味わってみたい」という、スパイス好きの方のアプローチもあります。山崎さんがやってこられたことを中心に、色んな出来事が回っているとすごく感じます

栽培技術を若い人たちへ

山崎さんの挑戦から広がる地域の輪。

田中美央さん:
山崎さん、これ(手押し車)持っていく?いらない?

山崎一一さん:
いらないのう

田中美央さん:
いらないか

この日、若者たちと一緒に山崎さんが向かった先にあったのは…

山崎一一さん:
俺のより背が低いな!

斉藤翔さん:
背、低い

田中美央さん:
全然低いですよ

山崎一一さん:
ふふふ、そうだな

こちらもウコン畑。しかし、山崎さんの家のものに比べると少し背が低いような…

山崎一一さん:
これは田中さん、斉藤さんが作っているウコン

こちらの畑は山崎さんの土地だが、栽培しているのは新潟市出身の田中美央さん(31)と青森県出身の斉藤翔さん(28)。

田中美央さん:
葉っぱが黄色いのは水不足?

山崎一一さん:
虫が食ったんじゃないかな

「地域おこし協力隊」として活動していたときに山崎さんと出会った2人。
ウコンの栽培技術を継承したいと考え、2020年からウコンを栽培している。

山崎一一さん:
ちょっと管理が足りないなと思って(笑)

田中美央さん:
まだまだだなと思います(笑)

ブランド化へ…クラウドファンディング開始

実は山崎さん、91歳にしてこの2人と新たな挑戦を始めていた。

斉藤翔さん:
今作っているシロップの原料には、ここで育てたウコンを使う予定です

新たな挑戦…それは、ウコンを使った商品の開発。
三条市内にある田中さんたちの事務所には、山崎さんの名前「KAZUICHI」のラベルが貼られた瓶が置かれていた。

2人は山崎さんのウコンをブランド化しようと考え、その資金を募るため、10月1日にクラウドファンディングを開始した。

田中美央さん:
すごい!もう97人が買ってくれるって

山崎一一さん:
ほ~これかね

斉藤翔さん:
山崎さんがずっと育ててきたウコンを、もっと色んな人と育てていきたい。たくさん作られたものが、僕らがこれから作っていく商品の原料として使えれば、下田の農業としても成り立つし

その商品の第1号が、ウコンを原料に使ったシロップ。

山崎一一さん:
ん~、おいしい。ウコン葉茶にこれを入れるといいかもしんねえなあ

斉藤翔さん:
いいかもしれない

山崎一一さん:
発展性が“ばかいい”と思う

田中さん・斉藤さん:
あはははは

91歳にして人生の新たな一歩を踏み出した山崎さん。

山崎一一さん:
本当に若い人とお会いして刺激になります。20歳くらい若い気持ちでお付き合いさせていただいています。これがね、世界に広がっていってほしいです

“スーパーウコンじい”の挑戦は続く。

(新潟総合テレビ)