お札の偉人がマスク姿のポチ袋

お年玉などを入れる際に使われるポチ袋。

そんなポチ袋に、おうち時間「STAY HOME」を楽しむためにデザインされたものが登場した。デザイン事務所「SANAGI design studio」がポチ袋「YEN HOME(エンホーム)」を10月13日に発売し、即売り切れとなるほどの人気だという。

まずは、そのポチ袋を見てほしい。

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福沢諭吉など、お札に描かれた偉人がマスクをつけている。

こういうデザインというわけではなく、偉人の顔の形に切り抜かれたポチ袋に、お札を二つ折りにして入れると、偉人の顔が現れる仕掛けとなっているのだ。新型コロナウイルスの影響で、ほとんどの人がマスクを着用して外出する今を表現しているようにも思える。
 

お札の入れ方
お札の入れ方

種類は、福沢諭吉(1万円札)バージョン、樋口一葉(5000円札)バージョン、野口英世(1000円札)バージョンの3種類。

3種類ともお札を抜くと内側から「外出中」という文字が現れる。「人間と一緒に諭吉さん(一葉さん・英世さん)もなるだけ外出させないようにしよう!(浪費するなっ)」というメッセージの込められたユニークな仕掛けなのだ。

お札を抜くと「外出中」の文字が
お札を抜くと「外出中」の文字が

価格は各種類(5枚セット)が1250円(税込み)で、全種類が3枚ずつ入ったコンプリートセットは2000円(税込み)。SANAGI design studioのウェブサイトから購入できるのだが、現在は全種類の在庫がなく再入荷待ちとのことだ。

マスク姿の偉人や、お札を抜くと「外出中」の文字が出てくるこのポチ袋は、あげた方ももらった方も楽しめそうなデザインで、使ってみたくなる。

在庫切れになるほどの人気があるポチ袋だが、どういったきっかけで制作することになったのか? SANAGI design studioの井下恭介さんに話を聞いてみた。

制作者「お金も外出自粛してほしい」

ーー「YEN HOME(エンホーム)」を作ることにしたきっかけを教えて

今年の4月頃、多くの卒業式や入学式がコロナ禍によって中止となっているというニュースを見たのがきっかけです。

本来なら会って祝うはずだった家族や親戚の子供にも会えず、入学卒業祝いも渡せない。電子送金や振り込みなど、やろうと思えばやれるけどなんか味気ない…という声を多く耳にしました。

私は、これは金欠にあえぐ若者にとって由々しき事態だ!と思い、お盆休みや年末の連休に家族や親戚が集まるだろうから、そこで渡しそびれたお祝い金を渡す時にワイワイ楽しくなるようなデザインをしよう!と考えたのがきっかけです。

ーーお札を抜くと「外出中」の文字。このアイデアはどこから考えついた?

友人が「一歩も外出していないのに金だけは飛んでいく」とグチっていたのを聞いて、どうせならお金も外出自粛してほしいといった願望をそのままデザインにしました。


ーー現在の反響は?

非常にありがたいことに、毎日問い合わせを200件ほど頂いています。この反響に対しては、素直にとてもうれしいのと同時に、多くの方をお待たせしている現状を非常に申し訳なく思っています。

販売初日には数千枚が1時間ほどで完売。現在、再入荷に向けて工場の方で増産しているという。ちなみに、一番人気は福沢諭吉の1万円札バージョンで、全種類3枚ずつのコンプリートセットも好評だとか。

コロナすらも笑いに変えて

ーー実際に利用はした?

親戚の子供が学校を卒業したのですが、そのお祝いとして渡しました。その直後に「外出自粛中なのに、すぐに諭吉さんが外出しちゃった…」とメッセージが来たので、楽しんでくれたのではないかと思います!笑

ーーどんなふうに使ってほしい?

使い方は自由ですが、会話の盛り上がりになってくれたらいいなと思っています。大変な時代だからこそ、コロナすらも笑いに変えていけるといいのかなと感じています。

私の友人は子供の誕生日に、「不要不急の外出は控えなさい!」というコメントと共にマスクをした樋口一葉を渡したらしいのですが、5分後には子供も樋口一葉も外出していたと頭を抱えていました…笑

井下さんは今後のデザイン案に関して、「キャッシュレス化やオンライン化が進む中で、物理的なモノの価値の先にある、それらが生み出す“コトの価値”といったものを大切にしながらデザインしていきたい」と語っている。

ちょっとしたときに遊び心あるこの「YEN HOME」を使えば、もらった側は金額以上のうれしさを感じることができるかもしれない。

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プライムオンライン編集部
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