“監禁場所の特定”に注力
救出要請があっても、実際に救出に至るまでには大きな壁がある。
監禁されている人の多くは、パスポートやスマートフォンを取り上げられ、自分の居場所すらも分からないことが多いためだ。
植野大使:
監禁場所を特定するのが非常に大事。位置を特定されないようにしようとする犯罪組織と、位置を特定し助け出そうとする我々との攻防だ。
カンボジア警察に対しては、「日本の要請に迅速に動いてくれる」と感謝の意を示した。
一方で、現地警察の一部が犯罪組織と癒着関係にあると指摘されていることについては、「裏付けるだけの確たる材料を持っていない」として言及を避けた。

詐欺拠点の根絶に向けて
日本政府は、ODA(政府開発援助)を通じたカンボジアの入管施設などの能力強化支援や、大使館のホームページによる注意喚起などの対策を実施してきた。
しかし植野大使は「現実には、次から次へと似たような事案が起こっている」として、根絶には至っていないと認める。
アメリカ政府は、詐欺関与の疑いがあるカンボジア企業に制裁を科した。韓国政府は、自国警察を現地に派遣して合同捜査を行うことを決めている。
植野大使は、他国の取り組みを参考にして日本もさらなる対応を考えていくと話す。その上で、詐欺撲滅に向けては「対処療法」と「根本療法」が必要だと指摘する。
植野大使:
「対処療法」は、特殊詐欺に加担することが間違ったことで厳罰に処せられるかを周知すること。「根本療法」は、日本の経済を活性化すること。それから、社会の中での絆を多くの人が取り戻すようなことを考えないといけない。加害者であり被害者である人が多いので、そこを何とかしないといけない。
海外で日本人が関与する特殊詐欺事件が後を絶たない中、政府の今後の取り組みが注目される。
(FNNバンコク支局 杉村祐太朗)
