高級腕時計のシェアリングサービスを運営する大阪市の会社が1月末、突然解散を発表した。少なくとも500本以上の時計が所有者のもとに返却されておらず、トラブルになっている。

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トケマッチを利用していた男性:なんて言えばいいか、言葉を失ったっていうのが一番の感想ですね。

とまどった様子で話したのは、「預けた高級腕時計ロレックスが戻ってこない」と訴える男性だ。

■高級腕時計シェアリングサービス「トケマッチ」 突然「解散」発表

男性が時計を預けたのは、大阪市内の会社が運営する高級腕時計のシェアリングサービス「トケマッチ」。会社のホームページなどによると「トケマッチ」は、オーナーから預かった高級腕時計を、借りたい人にレンタルし、その使用料が支払われ、オーナーには毎月「預託料」を支払っていたという。

男性は約100万円で購入した「ロレックス」1本を2023年12月に預け、預託料として月に34900円を受け取れることになっていた。

トケマッチを利用していた男性:機械式時計は使わないとずっと止まっちゃって、逆にそれもよくないので、いろんな人にどうせなら使ってもらった方が時計にもいいかなって感じて預けた。正直、今年から新NISAが始まるので、そっちの方に資金を入れたいなというところもあって…

ところが、「トケマッチ」ホームページに「事情により1月31日をもちまして、解散することとなりました」 と掲載され、1月末に突然「解散」が発表された。

トケマッチを利用していた男性:電話しても誰も出ない、メールしても何も返ってこない。

預けられた時計についてトケマッチはホームページで、「半年を目安に時計を返却する」と説明していたものの、いまだに何の連絡も受けていないという人が多い。 高級腕時計4本を預け、全てが返却されていないという男性は…

腕時計4本を預けていた男性:マックスで約75000円もらえる計算でした。全然返ってきてないですね。本来約束されていた収益とかけ離れた数字ですね。こんな痛手負ったの人生で初めてなんで、正直泣きたいですね。

■「トケマッチ」に預けた時計が転売されているとの情報も

SNS上で作られたトケマッチの利用者のグループによると、少なくとも570本以上の高級腕時計がいまだ手元に返ってきていないということだ。

さらに、トケマッチを利用していた男性:相当数の数が売られているのが分かっている。

シェアリングエコノミー協会(シェアサービスの取引仲介業者の団体)によると、トケマッチに預けられたものと同じシリアル番号の時計が市場で販売されていることが分かっていて、すでに中古市場に流れた恐れもあるという。

トケマッチを利用していた男性:海外に売られたり、海外の人が買っていったら、今週末から春節が始まるので、そうなっていくと、時計の回収が困難になると思ってます。

トケマッチに話を聞こうと運営会社が入るマンションを訪れたが、返答はなかった。 時計を預けた男性は、サービスを利用してしまったことを後悔していると言う。

トケマッチを利用していた男性:自分自身がうまい話につられすぎたなっていう、情けなさというのが一番あるんですけど。警察に一刻も早く動いてもらわないと、正直、私たちも何もできない。

 大切な時計が、もう一度手元に戻ってくることはあるのだろうか。

■「場合によっては『詐欺』ということも」と菊地弁護士

「トケマッチ」は、所有者から高級腕時計を預かり、その腕時計を借りたい人に貸すというサービスだ。1月末にサービスを終了、運営会社の解散が突然発表された。 所有者がトケマッチに預けていた時計は、所有者グループによると、少なくとも577本にのぼるという。これらの時計の返却について、運営会社はホームページで「6カ月を目安として返却」もしくは「賠償金を支払う」としているが、預けた所有者が連絡しても連絡がつかない状況だ。

菊地幸夫弁護士:解散ということですから、そもそも最初に預託している契約の前提が崩れていますので、契約解除で即刻返してくれという権利は、恐らく所有者にはあります。

解散は「計画的だったのではないか」という見方がある。取材によると、解散1カ月前に時計を預けるよう促すキャンペーンがあったとのことだ。

菊地幸夫弁護士:そもそも『解散』ということです。例えば破産ですと、会社の経営状況が傾いて、何とかやってもだめだったということです。解散っていうのはあらかじめ決めてあった理由が発生したとか、あるいは会社自体が株主総会で『賛成。解散しましょう』と自ら会社をやめるということで、計画的と言われても仕方がない面があるのではないでしょうか。
 あと分かっていた解散の1カ月前にキャンペーンをして時計を預けさせようとしていたとなると、場合によっては『詐欺』ということにもなりかねないです。

預けた方がシリアル番号を検索すると、中古市場に出ているという情報も見つかったという。転売しているのがトケマッチなのか借りた方なのかは分からないが、転売されている可能性がある。

菊地幸夫弁護士:どういうルートで流れていたのか分からないですけれども、預かっているものを処分したということになると、『業務上横領』あるいは『単純横領』となります。しかもその場合、法律上取り戻す手段もあるんですけれども、盗品の場合に限られるといった法令があって、横領で流れたものは回収が難しいということもあります。なかなか所有者の方が回収するのは、先が見えない状況かもしれませんね。

取材に応えた所有者の方は「警戒心が足りなかった」と言っていた。シェアリングサービスを使うときは慎重にならなくてはいけない。「トケマッチ」の今後の展開が注目される。

(関西テレビ「newsランナー」2024年2月8日放送)

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