10月から相次いで発生した鳥インフルエンザで合わせて約68万羽の鶏が殺処分された。
2023年、卵の価格が急上昇した、あの「エッグショック」が再来してしまうのだろうか。
10月、北海道・白老町の養鶏場で鳥インフルエンザが発生した。
11月2日には恵庭市の養鶏場でも感染が確認され、合わせて約68万羽の鶏が殺処分された。

「私たち(人間)もそうですけど、いくらインフルエンザのワクチンを打って、毎日うがいをして、マスクをしても(インフルエンザに)かかるときはかかってしまう。(鳥インフルの)ウイルスは『野鳥由来』なので完全にゼロにするのは難しい」(酪農学園大学 日向貴久教授)

札幌市北区のスーパー「クーリッチ拓北店」ではすでに大きな影響が現れていた。
「こちらが以前、卵が安定している時にあった卵のコーナー。今、鳥インフルで(卵が)安定して入ってこないので売り場は縮小してこんな感じ」(クーリッチ拓北店 高西邦明社長)

発注した卵は鳥インフルエンザの影響で約半分しか入荷できなかった。
先週からコーナーを縮小。
10個入りのパックは30円ほど値上げせざるを得なくなり、現在340円前後で販売している。
「かき玉スープとかチャーハンとか。卵は必需品。簡単に栄養も取れる。値段が高くなると生活にも直接響いてきちゃうので心配」(買い物客)

買い物客の中には2023年のエッグショックを思い出す人も。
「(当時は)まるっきり手に入らないから近くのコンビニに何度か行って『入っていますか?』と。『入ったけどすぐ売れました』って。ずっと入んないのは困っちゃいますけど」(買い物客)

クーリッチでは2023年の教訓をもとに仕入れ先を確保する努力を続けていた。
「今までは1社の卸売業者から仕入れていたが、2社、3社に(卵を)供給してもらう動き。きょうもこれから卵販売店に取りに行く」(高西社長)

「おいしそうなケーキが並ぶこちらの店ではすべてのお菓子に卵が使われているということで、鳥インフルエンザの動向を心配しています」(水上孝一郎記者)

札幌市西区にある老舗洋菓子店「マスカットボア」。
卵はスイーツに欠かせない材料で店では週に1回、多いときで240個仕入れているが――。

「業者さんから何とも返事はないんですけど『これから値段が上がってきたりする』とか『急に仕入れができなくなるかも』と聞いていて、クリスマスの予約ももうすぐ始まるのでちょっと不安だなと感じます」(マスカットボア 松本シルレイさくらさん)

毎年200件近い注文を受けているという、人気のクリスマスケーキは予約の受付開始を11月23日ごろに予定している。
そろそろクリスマスケーキの価格を決めなければならないが、卵の仕入れ値がどうなるのか心配だ。
「卵はケーキに絶対ないといけない存在。まろやかさを出すことができるので本当にないと困ります。これ以上、鳥インフルがはやることなく卵の仕入れができるようにと思っています」(松本さん)

2023年の「エッグショック」が再来してしまうのか。
「消毒や動線管理、(鶏の)密度の見直しなど対策のレベルは年々上がってきている。エッグショックの再来、2年前ほどのインパクトは可能性としては極めて低い。いつも通りの購買行動を取るのが私たちができる唯一のことだと思います」(日向教授)

もし卵がなくなったら
道内外の養鶏場で鳥インフルエンザ発生が相次ぎ、1771万羽の鶏が殺処分されたことで、卵が品薄になり、価格が高騰した2023年のエッグショック。
再来の可能性は低いとみられているが、もし卵が買えなくなったら…代わりとなる商品がこちら。
<UMAMI EGG>
「UMAMI UNITED JAPAN」が開発した商品。こんにゃく粉やタピオカスターチなど植物性原料を使い、黄身と白身の味わいや鮮やかさを再現している。
豆乳と混ぜて使えば、たまごサラダやお好み焼きなどが作れる。小麦粉や米粉とあわせて使えば、ドーナツやパンケーキなども。ネットで約2000円で購入可能だ。
<EVER EGG>
「TWO」と「カゴメ」が開発した商品で、ニンジンと白いんげん豆を用いて卵の風味を再現。
電子レンジなどで温めれば、親子丼やオムライスなどに活用できるという。ネットで5個入り2000円前後で購入可能。
