高市首相は5日の参院本会議で、野党から森友学園問題に関して第三者委員会による再調査を求められたのに対し、これまでに会計検査や検察による捜査が行われていると指摘し、「その後新たな事実が判明していないため、改めて第三者による調査が必要とは考えていない」との考えを示した、立憲民主党の水岡参院会長の質問に答えた。
高市首相は答弁で、「森友学園の国有地の処分については校舎建設工事が進んでいる中で、地下埋設物が発見され、開校遅延による損害賠償リスクがある中で、瑕疵担保免除特約を付すことも踏まえ、売買価格の算定が行われたと承知している」と述べた。
また、財務省における決裁文書の改ざん等については、「平成30年の財務省の調査において、国会審議において森友学園案件が大きく取り上げられる中で、さらなる質問につながり得る材料を極力少なくすることが主たる目的であったと認定され、すでに関係者の処分が行われている」と指摘した。
その上で「第三者による調査については、これまでに国会の要請に基づく会計検査に加え検察当局の捜査が行われ、不起訴処分になったと承知している。従って、その後新たな事実が判明していないため、改めて第三者による調査が必要とは考えていない」と強調した。
高市首相はまた、「ご遺族からの開示請求については、本年1月の大阪高裁判決を踏まえ、情報公開法七条に基づく公益開示を実施しており、まずは森友学園事案と関連がある主要な文書について、来年3月までを目途に開示していく方針を引き継いでいく。こうした方針に沿って、財務省において現在、相当量の文書の開示作業を行っており、ご遺族からの要望についてはその作業状況を見極めながら、財務省においてできる限りの対応をすべきだと考えている」と述べた。
改ざんを強いられたことを苦に自殺した、近畿財務局元職員の赤木俊夫さんについては、「自ら命を絶たれた赤木様の苦悩に思いをいたし、ご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます」と哀悼の意を示した。