SNSのライブ配信を通じてリアルタイムに交流する「ライバー」と呼ばれる人々。今や趣味の延長ではなく、職業として本格的に活動する人が急増している。その頂点を競う大会が、広島市で開かれた。
スマホの向こうに“現実のステージ”
大きなホールのステージ上、華やかなドレス姿の女性たちがスマートフォンを前に並び立つ。顔を照らすリングライト、客席にはスマホを手にした観客。現実とオンラインが交錯するような光景の中、ライバーたちは限られた時間で自らの魅力を届けていた。
11月1日、広島市中区の国際会議場で開かれたのは、国内トップのライバーが集う年間MVP表彰イベント。主催は、数多くのライバーが所属する広島市本社の「スリーライブジャパン」だ。

視聴者がネット上で“投げ銭”を送るシステムを使い、わずか5分間のライブバトルで最も多くの利益を獲得したライバーが優勝する仕組みである。
広がる「職業ライバー」という生き方
「総額2000万円くらいの投げ銭が、この5分間で動いています」
そう語るのは、スリーライブジャパンの黒部永弥代表。
投げ銭は、クレジットカードや電子マネーなどを通じて配信アプリ上でやり取りされる。黒部代表によると、「ほとんどというか全部、投げ銭が基本収入」だという。
同社には2025年11月時点で約1万人のライバーが所属しており、その数は急速に増えている。
「弊社の事務所へ8月に新たに入ってきたライバーは900人。最近は本当に熱い業界です」
本業として活動するライバーも少なくない。
「うちに所属するライバーで1日に6時間ほど配信する人たちだと、平均月収はTikTokライブで168万円くらい。れっきとした職業になっていると思います」と黒部代表は話す。
MVPえらちゃん「全部を配信に注いだ」
年間MVPに選ばれたのは、岡山県在住のライバー・えらちゃんだ。
ライバーが職業として成り立つか尋ねると、「もちろん。私はライバー1本です」と胸を張る。
しかし、その成功の裏には地道な努力があった。
「配信時間は1カ月に270時間を超えました。生活のすべてを配信に注ぎ込み、自分のメンタルとも戦いながら…。キラキラした世界に見えますが、その裏でめちゃくちゃ泣きました」
新しいアイドルのかたちに?
「これからのアイドルの新しいかたちになるのではないか」
黒部代表はそう語る。
ライバーとは単なる発信者ではなく、視聴者と共にステージを作り上げる存在だ。

画面越しの“推し”が、現実の舞台でスポットライトを浴びる時代。ライブ配信という新しい職業は、今まさに進化の熱を帯びている。
(テレビ新広島)
