「運転前に生ビール」「高速の路肩を走行」「バス専用レーンを爆走」…。
外国の外交官による、日本の市民に危険を及ぼしかねない “やりたい放題”の実態。中でも目立つのは、外交官ナンバー車による路上駐車違反だ。一部は、ウィーン条約に基づく外交特権を悪用し、駐車違反金を踏み倒している。日本政府は対抗策を打ち出したものの、それらが“無視”されるケースが相次いでいることが分かった。フジテレビが独自入手した240枚の文書から、新たな問題点が見えてきた。
“警告書”を独自入手
この初夏、外務省から記者に届いたのは、厚さ数センチ、240枚に上る文書だった。
情報公開請求から半年ほどを経て開示された。この文書は、外務省が国内にある外国の大使館に宛てて送った、いわば“警告書”だ。

ずっしりと重みを感じながら、1枚ずつめくる。すると、悪質な外交官車が、どこで、どれだけ、放置駐車違反を繰り返したのか、具体的な日付や都道府県が記された”表“が次々と現れた。
4分の1が日本の対抗策を“無視”
外交特権を巡る私たちのこれまでの報道を受けて、外務省は”踏み倒し“に対抗するべく4年前(2021年)に打ち出したのが、常習的に放置駐車違反をして違反金の支払いに応じない場合、外交官へのガソリン免税を認めないというものだった。
外務省は、駐車違反を繰り返した、特に悪質な外交官車64件(2021年~24年)について、「ガソリン免税を取り消すことになる」と対抗措置を示したうえで支払いを催促した。
しかし、約4分の1(23%)の15件については支払いに応じなかったという。日本の対抗策が無視された形だ。

“2カ月に4回”も駐車違反
文書では、「相手国との信頼関係を損なう恐れがある」として、国名は黒く隠されているものの、悪質な外交官車の駐車違反の“頻度”も今回、初めて判明した。
ある外交官の車は、東京で2ヶ月間に4回、放置駐車違反を繰り返していた。

また、ある領事館の車は大阪と兵庫で、半年で4件の違反を繰り返し、うち3件は土曜日だった。

これまでの取材では、高速道路の路肩やバス専用レーンを走行する外交官車、運転前にビールを飲む外交官の姿が実際に確認されている。
それぞれの常習的な放置駐車違反(310件)を分析したところ、土曜日が最も多く、3分の1(108件)が「土曜・日曜・祝日」だったことも分かった。つまり、“プライベート”での特権悪用の疑いも浮上しているということになる。

