“熊災害”が相次ぐ中、10月31日も体長は約50cmのクマが建設会社の建物の中に侵入した。
生活圏での相次ぐ出没でクマに遭遇するリスク高まる中、クマ対策として文科省は、空のペットボトルを握って鳴らす「ペコペコ音」をクマが嫌う音の1つとして例示した。

過去最悪…すでに12人死亡の“熊災害”

駐車場の背後から、のそのそと歩き近づいてくる1頭のクマ。
10月31日午前10時ごろ、新潟・阿賀野市の住宅街で撮影された映像です。

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クマを目撃した従業員:
最初向こうの家の庭の方にいて、それで事務員さんが見つけまして。クマだ!クマだ!とずっと見ていたらシャッター開いてたんで、閉めないとなって思ったときには、すでにクマが入っちゃいまして。

突如現れたクマは建設会社の建物の中に侵入。体長は約50cm。
幸いにも従業員たちは全員避難し、けがはないという。

クマを目撃した従業員:
このクマがこの辺りにのぼりついて、このサッシの下をぐっとのぼって、そのまま上に上がってきたんですよ。

白昼堂々起きたクマの居座りに、近隣住民は「ここは山奥までかなりありますからね。まさかこんなところに出るとは思わなかったですね」「柿あるもんね…。取ってくださいって言わんばかりだもんね」と話した。

午後3時過ぎ、猟友会などが建物の中へ入り、そして午後3時半ごろ、市長の許可を得た猟友会などが緊急銃猟を実施。
クマは麻酔銃により捕獲された。

2025年度、クマに襲われて死亡した人は12人と、すでに過去最悪の状態になっている。

前代未聞の事態に、秋田県から自衛隊の派遣要請を受けている小泉防衛相は次のように話す。

小泉防衛相:
箱ワナの運搬に伴う輸送支援などの依頼を受けており、自衛隊として、これを実施する方向で調整を進めている。

自衛隊の派遣について「任務遂行に支障のない範囲で最大限協力したい」としている。

一方、赤間国家公安委員長は「人里に侵入してきたクマを警察が保有するライフル銃を使用して、迅速かつ的確に駆除できるようにすることとしたい」と述べた。

さらに、駆除にあたる警察官が、クマの生態や急所についての理解を深めるよう、対策を速やかに実施する方針も示した。

“熊撃退”にペットボトルのペコペコ音?

生活圏への相次ぐクマの出没で高まるクマに遭遇するリスク。

そこで10月30日、文部科学省は全国の教育委員会に学校施設などでのクマ対策を通知。
その中で、クマが嫌う音の1つとして例示したのが、空のペットボトルを握って鳴らすペコペコ音だ。

松本文科相:
ペットボトルの音については、岩手・花巻市の教育委員会が作成したもののうち、クマよけベルの装着や食べ物を持ち歩かないといった様々な指導例の1つとしてあげられているものである。

岩手・花巻市では小中学校の全生徒にクマよけベルを配布しているものの、学校以外で持っていない時の対処として、ペットボトルを鳴らすことを指導しているという。

クマにとって有効なのか、専門家に話を聞いた。

石川県立大学・生物資源環境学部 大井徹特任教授:
クマっていうのは用心深い動物でして、ペコペコ音は森の中で聞かない音なので、クマが警戒心を出して立ち去る可能性があると思う。

森の中では聞き慣れないペットボトルのペコペコ音は一定の効果が期待できるという。
(「イット!」10月31日放送より)

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