■苫前町に現れた400キロ級「メタボ熊」

 北海道苫前町で、推定体重400キロの巨大ヒグマの姿が撮影されました。

  でっぷりとした腹の肉を揺らしながら、ゆっくりと箱わなの周囲を歩き回る巨大なクマ。地元では「メタボ熊」とも呼ばれています。

 近くのデントコーン畑で作物を食い荒らして太ったとみられ、地元ハンターによりますと「非常に警戒心が強く、なかなか姿を見せない」ということです。

 設置された箱わなも、その巨体には狭すぎるようにも見えます。


 ヒグマは国内最大の陸上生物。大きいものでは体長2メートルを超え、本州のツキノワグマよりひとまわり大きく、その存在感は圧倒的です。

 北海道ではこれまでも、数々の“巨大グマ”が目撃・駆除されてきました。


■史上最悪の熊害「三毛別事件」

 今回400キロ級のクマが出没した現場近く、旧苫前村三毛別では1915年、開拓期の集落が襲われ、死者7人を出した「三毛別羆事件」が発生。

 大規模なクマ狩りが行われるなか、クマ撃ち名人として名高い老マタギ、山本兵吉が駆けつけ1人で仕留めました。体重は340キロと伝えられています。

 さらに隣町の羽幌町では、1980年に仕留められた伝説の巨大グマ「北海太郎」が知られています。

 見上げるような巨体で、体重は実に500キロ。現在もその剥製が残り、道内最大級の個体として語り継がれています。


■北海道の“巨大ヒグマ”たち

 北海道ニュースUHBのライブラリーにも様々な巨大グマの姿が記録されています。(以下、クマの死骸の写真が含まれます。当時のニュース映像記録として、そのまま紹介します)


 ■1998年8月 小樽市

 住宅街近くに現れ、スイカ畑などを荒らしたヒグマ。

 体重約250キロ。4発の銃弾で駆除されました。

 ■1998年11月 白糠町

 鹿狩り中のハンターがヒグマと遭遇。3発撃ちましたが反撃され、クマもろとも30メートル下の谷に転落。重傷を負いました。

 クマは7~8歳のオスで、体重は400~500キロほどと伝えられました。

■ハンターとクマとの死闘

 ■2001年9月 美唄市

 高速道路を走行中の乗用車が体重約300キロのヒグマと衝突し大破。

 クマは後続の大型トラックなど3台にはねられ死にました。

 ■2006年10月 浜中町

 「グァーと飛びかかってきた。銃を撃つひまもなかった」ヒグマの警戒に当たっていたハンターたちが襲われ、1人が死亡、1人が重傷を負いました。

 クマは8発の銃弾を浴び、ようやく仕留められました。体長2メートル超、体重約400キロ、5歳とみられるオスでした。

 ■2009年9月 新ひだか町

 デントコーン畑で警戒中のハンターがヒグマの爪で頭を殴られ負傷。

 その後、駆除されたクマは体重約300キロでした。

 ■2015年9月 紋別市

 トウモロコシ畑を荒らしていたヒグマをハンターが駆除。体長2.8メートル、体重約400キロ。規格外の大きさに、当時話題となりました。

 この年はドングリが不作で、畑の作物を食べ続けて太ったとみられています。

 ■2016年7月 雄武町

 国道を歩く巨大グマが撮影されました。目撃者は「軽乗用車ぐらいの大きさだった」と証言しました。

 周囲の電柱などと比較しても相当な巨体だったとみられています。


■牛66頭を襲い続けた”忍者グマ”OSO18

 牛66頭を襲い続け、酪農地帯を震撼させたOSO18(オソ)。極めて用心深く闇夜に紛れて行動することから「忍者グマ」などと呼ばれましたが、2023年7月に駆除されました。

 推定年齢は9歳で、駆除された際は、体長2.1メートル、体重330キロほどと、予想より痩せていて最初はOSOと気付かれませんでした。

 熊肉として卸され、店では味噌煮などでふるまわれました。


■人とヒグマが隣り合わせに暮らす北海道

 苫前町の400キロ級ヒグマ。いまだ捕獲には至っていませんが、道内にはこのような“巨体を誇るクマ”が確実に生息しています。

 人とヒグマが隣り合わせに暮らす北海道――その共存と安全を、あらためて考えさせられます。

北海道文化放送
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