コメの価格高騰を背景に、いま「精米機」の需要が高まっている。なかでも、富山市の精米機専門メーカー「タイワ精機」が製造する家庭用精米機が注目を集め、今年製造した200台が半月あまりで完売するという異例の事態となっている。

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玄米購入が増加、県外からも問い合わせ

スーパーなどの店頭に並ぶコメの価格は5キロで4251円と、昨年より約800円高くなっている。この価格高騰により、比較的安価な「玄米」を購入する消費者が増えているのだ。

富山市のコイン精米機には、例年よりも多くの利用者が訪れている。ある富山市のコメ農家は「兄弟にもコメを買ってもらっているから白米にして持っていってあげている」と話す。

同農家によると「県外からも問い合わせが来る。玄米で買う人がほとんど」と、群馬県や埼玉県などから直接訪れる人も増えているという。

精米機メーカーに追い風

こうした状況が、精米機メーカーにとって追い風となっている。富山市に本社を置く「タイワ精機」は、コイン精米機の国内シェア率50%を誇り、これまで累計3000台を全国に展開してきた実績を持つ。

同社の石仙博男代表取締役社長は「玄米を見たことがない方がまだまだいるようで、『玄米入手するが精米はどうすればいいの?』ということで、コイン精米機を利用する人や家庭用の精米機を購入して自宅で精米して食べる人が増えた」と話す。

家庭用から業務用まで売上増加

タイワ精機の家庭用精米機は、1合当たり1分で精米できる性能を持ち、価格はおよそ10万円。今年は200台を製造したが、半月余りで完売したという。

石仙社長によれば「(売上台数は)昨年からみると30%増くらい」と大幅に増加している。

さらに、600キロの玄米を1時間で精米できる「業務用精米機」の売上も昨年より25%増加した。

「米屋や大型農家が使う機械の需要が伸びている。コメの価格が上がったのがいちばん。コメの価格があがったことで農家が潤い、設備投資をしようと購買意欲が生まれた」と石仙社長は分析する。

タイワ精機では家庭用、業務用ともに増産していく方針だ。コメの価格高騰という課題に対して、消費者と生産者双方が新たな解決策を模索する中、精米機という選択肢が広がりを見せている。

富山テレビ
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