菅政権の発足から約1ヵ月、連立政権の一角である公明党にとっても新執行部体制となって半月が経った。その公明党執行部にとっては、近い関係にある菅首相がトップに立ったことで、やりやすさの反面、難しいジレンマを抱える状況になっている。

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長年の課題「若返り」へ幹事長と政調会長交代

7月27日の公明党大会では、山口代表の7選が承認された。山口代表は2009年からおよそ11年にわたり代表を務めているが、今回で歴代最長をさらに更新した。

一方で幹事長には、斉藤鉄夫氏(68)に代えて、東大卒のエリート石井啓一前国交相(62)を起用。また政調会長には、石田祝稔氏(69)に代えて、竹内譲氏(62)を起用した。この二人の起用の理由は、ずばり「党の若返り」だ。

公明党には「任期中に69歳か、在職24年を超える場合は原則公認しない」という”定年制”があり、次期衆院選では複数の幹部の引退がささやかれている。また、山口代表の在任も長期化する中で、党はここ数年、執行部の「若返り」という課題を抱えていた。

そうした中での石井幹事長の抜擢は、「若返り」と同時に、山口代表が任期切れを迎える2年後を見据えて、「ポスト山口」は石井氏であることを党内外に示す形となった。

一方で、斉藤・石田両氏は副代表に就任し、斉藤氏には「総合選対本部長」も兼務させた。党内には「一気に世代交代を図るべき」とする意見もあったが、”新旧バランス型”の人事で、次の「石井代表体制」への安定的な移行を図ったとみられる。

菅首相と山口代表が持ち上げ合った公明党大会

そして今の公明党を見る上でもう1つ注目なのが、菅首相との関係だ。公明党大会では、来賓として招かれた菅首相と山口代表が次のようにあいさつした。

菅首相「私は公明党の皆さんの政治に心から拍手を送る一人であります」

山口代表「国民目線からの改革を進める菅内閣を全力で支える決意です」

こうお互い持ち上げ合ったように、公明党、そして公明党の支持母体である創価学会は、菅首相と親密な関係を築いていて、公明党幹部は菅首相の就任について「今までで最も近い関係だ」と歓迎している。

公明党らしさのお株奪われるジレンマ払拭へ 独自政策実現に躍起に

一方で公明党にとっては、政策が近く関係も深い菅氏が首相になることで、保守色の強かった安倍首相の時に政権のブレーキ役として発揮していた党の存在感が、逆に揺らいでしまうというジレンマにも直面しているのだ。

実際、菅首相が打ち出している「携帯電話料金の引き下げ」や「不妊治療の保険適用」は、公明党が長年主張し政府に提言してきた政策だが、菅首相にお株を奪われる形になっている。

党内からは「公明党のカラーが薄れるのでは」と危機感を示す声が聞かれるだけに、執行部も新たに「コロナ禍で苦労した受験生らへの2万円支援」などを菅首相に提言するなど、公明カラーの政策実現に躍起となっている。

今回の人事で、選挙を取り仕切る幹事長を交代させたことについて党幹部は、「年内の解散はないと判断したのだろう」と語っている。菅首相が解散総選挙に踏み切るまでの間、公明党がどう独自色を打ち出していくのかは、大きな課題となりそうだ。

(フジテレビ政治部 空閑悠)