晴天となった先週末、子供の運動会だったというご家庭も多かったのではないでしょうか。
今年度で閉校となる歌人・若山牧水の母校、宮崎県日向市の坪谷小学校でも、最後の運動会が開かれました。

小学校への誇りや親しみを地域全体で共有する時間となりました。

(綱引き)
「よーい!イチ二イチ二」

10月26日、日向市東郷町の坪谷小学校で開かれた最後の運動会。
全校児童2人だけの小学校に、地域住民や卒業生、それに転校した元・坪谷小の児童など、200人以上が集まりました。

徒競走や障害物競争といった運動会ならではの競技のほか、日向市の無形民俗文化財に指定されている臼太鼓踊りも披露され、世代問わず、みんなで楽しむ運動会となりました。

(70代女性 卒業生)
「みんな和気あいあいでよかったと思います」

(70代男性 卒業生)
「みんなが盛り上がったからできた最後の運動会でしたね」

今年度で閉校となる坪谷小学校。今年創立149年を迎え、ピーク時には400人近い児童が通っていましたが、今年度の在校生は6年生の水野大珠さんと山口創大さんの2人だけです。

歌人・若山牧水の母校である坪谷小では、短歌が学校の特色の一つとなっていて、水野さんと山口さんも親しんできました。

(牧水の短歌を暗記)
「若竹の伸びゆくごとく子ども等よ眞直にのばせ身をたましひを」

(坪谷小学校6年 水野大珠さん)
「牧水先生の短歌は覚えやすいとか、リズムがいいとか、いろんな点でいいと思います」

毎年、9月17日の牧水の命日に開かれる「牧水祭」。
今年主人公の若山繁、後の牧水を2人で演じる朗読劇を披露しました。

(若山繁役 坪谷小学校6年 山口創大さん)
「ぼくも歌を作ることが好きじゃ。今それが一番の生きがいじゃ」

坪谷小に通う他の児童が児童数の減少などを理由に転校していく中で、この学校が大好きな2人は最後まで坪谷小に通うことを選びました。

(山口さんの母 千穂さん)
「他の学校では経験できないことはたくさん経験させてもらえたと思います。(若山牧水が)いい影響を与えているかなと思います」

牧水の母校であることを誇りに思い、坪谷小に親しみを持っているのは、地域住民も同じです。2人きりとなってしまった後輩のために運動会の準備を手伝います。

(坪谷小学校卒業生)
「地域をあげて、どこにも負けないような、楽しい思い出ができる体育会にしてあげたいですね」

(選手宣誓)
「宣誓。僕たち選手一同は、坪谷小学校最後の運動会を、みんなで団結して、思い出に残る運動会にすることを誓います」

参加した人たちは、閉校の寂しさを吹き飛ばさんとばかりに大いに盛り上がり、校庭には歓声が響きました。

(坪谷小学校6年 山口創大さん)
「たくさん人が来てくれたことは、本当に嬉しかったです。本当に運動会が開催されてよかったです」

(坪谷小学校6年 水野大珠さん)
「(地域の人に)すごい感謝の気持ちを持って頑張りました。坪谷小にとって、みんなで最後にやり切ったと言える運動会になったと思います」

例年以上の参加者で大成功に終わった運動会。
水野さんと山口さん、それに地域の人たちは、坪谷小への感謝の思いを胸に、来年2月閉校式を迎えます。

テレビ宮崎
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