来日中のトランプ米大統領は2025年10月28日午前、北朝鮮による拉致被害者家族と面会した。面会に同席した鹿児島の拉致被害者家族・市川健一さんは「大きな意義があった」と語り、拉致問題解決への期待を示した。

不透明だった面会が実現

面会が実現するかどうか不透明だった28日朝、北朝鮮に拉致された市川修一さんの兄である市川健一さんはKTSの取材に対し、「私たちは一刻も早く会いたい。そのためにもトランプ大統領に協力をしっかりとお願いしたい」と胸の内を語っていた。

市川修一さんと増元るみ子さんは1978年8月12日、夕日を見るために訪れた日置市の吹上浜で北朝鮮に拉致された。2002年に5人の拉致被害者が帰国して以降、拉致問題は進展が見られていない状況が続いている。

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そうした中、かつて北朝鮮の金正恩総書記との首脳会談で拉致問題を提起したトランプ大統領に対して、市川さんは期待を寄せていた。

「積極的に拉致の話をしないといけない」

面会がかなうか不透明な状況のなか、東京の迎賓館を訪れた市川さんら拉致被害者家族のもとに、写真撮影の場でトランプ大統領が現れた。大統領との面会は2019年以来3回目となる。

家族によると、トランプ大統領との面会は約3分間で、北朝鮮に対して「積極的に拉致の話をしないといけない」という趣旨の発言があったという。

今後の米朝・日朝首脳会談に期待

面会後、市川健一さんは「会談はいつになるかわからないが米朝首脳会談の前に私たち家族(との面会)。そして総理との会談は大きな意義があると思う」と述べた。市川さんは大統領と直接言葉を交わすことはできなかったものの、面会自体に大きな意義があったと評価している。

トランプ大統領との面会後、会見で語る市川健一さん
トランプ大統領との面会後、会見で語る市川健一さん

トランプ大統領の退席後には、拉致被害者家族はルビオ国務長官とも面会した。市川さんは「あまりにも長い歳月だからアメリカの協力を帰ってくるまで『力を貸してください』と伝えた。米朝首脳会談でおそらくトランプ大統領はこの拉致問題を提起すると思う。それが日朝首脳会談につながっていけばありがたい」と語った。

拉致問題解決へ動き出すか

今回の面会が長年膠着状態にある拉致問題を動かす契機となるかどうか、今後の動向に注目が集まっている。トランプ大統領が北朝鮮との対話の中で拉致問題を提起することで、日朝間の交渉にも良い影響をもたらす可能性がある。

家族らは長い年月を経ても諦めることなく、被害者の帰国実現に向けた取り組みを続けている。国際社会の協力を得ながら、この人道問題の早期解決が望まれている。

(映像:市川健一さん「大きな意義」 拉致被害者家族とトランプ大統領面会

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鹿児島テレビ
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