韓国・ソウルの繁華街、梨泰院で日本人2人を含む159人が死亡した雑踏事故からあすで3年となります。日本人犠牲者の遺族が28日、「ずっとあの時のまま」だと現在の心境を語りました。
2022年10月、ソウル市内の梨泰院で発生した雑踏事故ではハロウィーンに集まっていた日本人2人を含む若者ら159人が犠牲になりました。
埼玉県出身で当時、ソウルの私立大学で韓国語を学んでいた小槌杏さん(当時18)も事故に巻き込まれ犠牲になりました。
28日、事故現場を訪れたという小槌さんの父・正成さん(52)と母・佳子さん(51)が外国人遺族の記者会見の会場で取材に応じ心境を語りました。
父・正成さん:
事故当時に(現場)に行って、1年後にも行って、今回3回目でしたけど「何でだろうな」という気持ちが大きかったです。
母・佳子さん:
こんな狭い所にあれだけの人数の方が押し寄せていたということを…。改めてとっても狭い道だったんだなあというのをきょう見て、感じて、苦しかったです」
事故から3年たった今も小槌さんの部屋はそのままで好きだったK-POPアイドルのCDなどが残されているといいます。
父・正成さん:
(事故から)3年たちましたけど、ずっとあの時のままです。気持ちが少しでも和らぐということはないです。
母・佳子さん:
3年もたっていますけど、今でも「ただいま」と帰って来るような気がしています。娘が亡くなってから見える景色がすごく変わってしまって……。それと同時にこんなに多くの方に支えられているということを、日々感じています。居なくなってもなお、娘から教わることがとても多いと感じています。
遺族会では救助が遅れた原因究明などが不十分だとして、韓国政府にさらなる調査を求めています。
一方、正成さんは韓国政府のサポートに感謝の気持ちを示した上で再発防止のために協力したいと話します。
父・正成さん:
今後同じようなことが起きないように韓国政府が取り組んでいるので、それに対して私たちも何かできることがあれば協力していきたい。
一方、同じ事故に巻き込まれ犠牲になった北海道根室市出身の冨川芽生さん(当時26)の母は「悲しみはどんどん増しています」と短くひと言、心境を伝えました。
遺族や韓国政府は29日、大規模な追悼式典を行う予定で、小槌さんと冨川さんの遺族も出席する予定です。