「○○ちゃん、ありがとう」。ある日、突然自宅に届いた電報には、そんな言葉が綴られていた。東京都内にある佐川急便の営業所で働いていた40代の女性は、同じ営業所の男性係長から、度重なるセクハラを受けたとして裁判を起こし、東京地裁は10月、男性に慰謝料など22万円の支払いを命じた。
日常的に積み重ねられてきた言葉によるハラスメントを、「社会通念上、許される限度を超えていた」と認定した判決。その経緯に迫る。
突然届いた電報…
2021年5月、女性の自宅に、佐川急便の営業所から一通の電報が届いた。表紙に「祝」という文字が書かれ、宛名には女性の職場での呼び名「○○ちゃん」と書かれていた。
「いつも明るく対応してくれてる事にみんな幸せを感じています…ありがとう!」
日頃の感謝の言葉が並んでいた。
ただ、この電報は業務用の信書便のキャンセル分を使って送られたもので、事前の了承はなかったという。

女性は驚きと不快感を覚えた。
「かわいい」「胸元が…」繰り返された言葉
女性は佐川急便の営業所に勤務。係長だった男性とは業務上のやり取りがあり、彼は日常的に女性を「○○ちゃん」とちゃん付けで呼んでいた。
ある日、営業所内で荷物を探していた女性が、背後から近づいてきた男性に驚いて「きゃっ」と声を上げた。すると男性は、「今のかわいい」と口にした。
また別の日には、前屈みになった女性に対して「それ胸元が…はだけて下着が見えてしまうよ」「体型良いよね」などと伝えたという。
