11月3日の文化の日に皇居・宮殿で行われる文化勲章親授式。
文化の発展に顕著な功績があった人に授与される「文化勲章」を、天皇陛下が皇居で直接授与する。
今回は平成17年の文化勲章親授式のご様子を取材した2005年11月27日放送「皇室ご一家」(第1350回 天皇ご一家 ご多忙な秋)を振り返る。

なお、本記事は当時のナレーションをそのまま記載。上皇ご夫妻を「天皇皇后両陛下」、現在の天皇皇后両陛下をそれぞれ「皇太子さま」、「雅子さま」などと記載する。

文化勲章親授式

文化の日の11月3日、天皇陛下は、皇居の宮殿・松の間で行われた文化勲章親授式に出席されました。

「文化勲章」
「文化勲章」
この記事の画像(26枚)

今年の受章者は、陶芸の青木龍山さんや俳優の森光子さん、聖路加病院理事長の日野原重明さんら5人。

俳優・森光子さん
俳優・森光子さん

受章者に勲章を手渡される陛下。

お礼のあいさつを述べる聖路加国際病院・日野原重明理事長
お礼のあいさつを述べる聖路加国際病院・日野原重明理事長

式の最後に受章者を代表して日野原さんがお礼のあいさつを…。陛下は、受章者の栄誉を讃えるおことばを述べられました。

文化勲章受章者・文化功労者らを招き茶会

翌4日、両陛下は、文化勲章受章者と文化功労者らを皇居に招き茶会を催されました。

文化勲章受章者と文化功労者らを招いた茶会
文化勲章受章者と文化功労者らを招いた茶会

この席には、文化功労者に選ばれたプロ野球巨人の終身名誉監督・長嶋茂雄さんも元気な姿を見せました。

 
 

陛下は、長嶋さんに「お元気になりましたね。がんばって下さい」とやさしく話されました。

「天皇賞」を天皇陛下が観戦されるのは“初”

これに先立つ10月30日、両陛下は競馬の秋の天皇賞ご観戦の為、東京・府中市の東京競馬場におでかけになりました。

東京競馬場に到着された両陛下(東京・府中市)
東京競馬場に到着された両陛下(東京・府中市)

ご到着後まず、競馬博物館を見学されました。館内には、なつかしの名馬の写真や競馬にまつわる様々な資料が展示されています。

競馬博物館をご覧になる両陛下
競馬博物館をご覧になる両陛下

両陛下が東京競馬場を訪問されたのは皇太子・皇太子妃時代の昭和63年以来、18年ぶりのこと。この時も天皇賞をご覧になっています。天皇賞が設けられた昭和12年以降、天皇が観戦されるのは初めてです。

昭和63年11月 天皇賞を観戦される皇太子時代の両陛下
昭和63年11月 天皇賞を観戦される皇太子時代の両陛下

この後、武豊さんら3人の騎手と親しく歓談された両陛下。

武豊さんら騎手と懇談される両陛下
武豊さんら騎手と懇談される両陛下

続いて双眼鏡を手に、レースをご覧になりました。

雅子さまは児童福祉施設文化祭へ

皇太子妃雅子さまは、11月6日、東京・渋谷区の明治神宮会館で開かれた第55回児童福祉施設文化祭に出席されました。

第55回児童福祉施設文化祭(東京・渋谷区)
第55回児童福祉施設文化祭(東京・渋谷区)

雅子さまがお一人でご公務のためにお出かけになるのは、平成15年11月以来、2年ぶりです。

児童福祉施設文化祭をご覧になる雅子さま
児童福祉施設文化祭をご覧になる雅子さま

文化祭には児童養護施設の子供たち300人が参加。雅子さまは、およそ4時間、子供たちの演奏や舞踊などを熱心にご覧になりました。

皇太子さま 神戸市で緑の少年団員らと植樹

皇太子さまは第29回全国育樹祭ご出席のため、10月29日と30日の両日、兵庫県を訪問されました。

神戸市に到着された皇太子さま
神戸市に到着された皇太子さま

神戸市ご到着後、早速、神戸市内の小束山県有林へ。ここは、昭和29年の第5回全国植樹祭の会場となった所で、その際、昭和天皇と香淳皇后がクロマツを植えられました。

当時は人里離れた里山だった小束山は、51年後の現在、遊歩道や芝生広場などもある憩いの森として県民に親しまれています。

皇太子さまは緑の少年団員が、森林ボランティアの人たちと一緒に伐採作業をしている様子をご覧になりました。

緑の少年団の伐採作業をご覧になる皇太子さま
緑の少年団の伐採作業をご覧になる皇太子さま

続いてお手入れ会場へ。

お手入れ行事に参加される皇太子さま
お手入れ行事に参加される皇太子さま

まず昭和天皇と香淳皇后が植えられたクロマツの周囲の下草を刈りとられました。

クロマツの苗木を植樹される皇太子さま
クロマツの苗木を植樹される皇太子さま

続いて、緑の少年団員と一緒に、クロマツの苗木を新たに二本植えられました。

阪神・淡路大震災から10年の兵庫県で行われた全国育樹祭

育樹祭の式典は翌30日、全国から林業関係者ら7000人が参加し、神戸市の北・三田市の県立有馬富士公園で行われました。

第29回全国育樹祭(兵庫県立有馬富士公園)
第29回全国育樹祭(兵庫県立有馬富士公園)

今年の大会テーマは「萌える緑にひろがる未来」。阪神・淡路大震災から10年、兵庫県はその教訓を生かして「人と自然との共生」に取り組み、特に県民参加の森づくりに力を入れています。

《皇太子さま おことば》
森林の大切さを思うとき、緑を守り育て、そしてそれをはぐくんできた技術や文化を、次の世代に引き継いでいくことは、私たちに課せられた大きな役割であろうと考えます。近年の環境問題への関心の高まりとともに、森林ボランティアなどによる森林の整備・保全活動も活発になっていると伺い、大変うれしく思います。

おことばを述べられる皇太子さま
おことばを述べられる皇太子さま

「ふれあいの森づくり」優良市町村の表彰です。

「ふれあいの森づくり」優良市町村の表彰
「ふれあいの森づくり」優良市町村の表彰

続いて全国の緑の少年団にクスノキなどの苗木が贈られました。

クスノキなどの苗木贈呈
クスノキなどの苗木贈呈

そして最後は、地元の子供たち300人によるアトラクションです。

式典後のアトラクション
式典後のアトラクション

式典のあと、皇太子さまは西宮市に10月22日オープンしたばかりの県立芸術文化センターをお訪ねになりました。

この日、リハーサル室ではセンターの専属オーケストラのメンバーが、地元の高校生を指導していました。

オーケストラの練習を見学される皇太子さま
オーケストラの練習を見学される皇太子さま

《指揮者・佐渡裕さんとのやりとり》
佐渡「一番最初から演奏いたしますが、殿下、もし良ければ…」(拍手がわき上がる)

指揮者の佐渡裕さんから演奏への参加を誘われる皇太子さま
指揮者の佐渡裕さんから演奏への参加を誘われる皇太子さま

芸術監督の佐渡裕さんの誘いに応じられた皇太子さま。団員や高校生総勢85人の中に加わり、ビオラを演奏されました。

オーケストラと一緒にビオラを演奏される皇太子さま
オーケストラと一緒にビオラを演奏される皇太子さま

皇太子さまが演奏されたのは、チャイコフスキーの交響曲第5番第4楽章。

 
 

お帰りの際には、見送りの人たちに気さくに声をかけられた皇太子さま。
お忙しい日々が続きます。
(「皇室ご一家」第1350回 平成17年11月27日放送)