宮城県知事選(10月26日投開票)を前に、24日夜、仙台市の郡和子市長が現職・村井嘉浩氏の応援に立った。
演説会場には支持者が詰めかけ、郡市長は「私の仕事上の旦那さんである村井嘉浩」とユーモアを交えて語り、20年にわたる県と市の関係を“夫婦関係”に例えて聴衆を沸かせた。
「顔を見たくない時もある」それでも歩み寄る県と市

郡市長は冒頭、「村井候補の応援に駆けつけた」と語りながら、「知事とは仲が悪いの?とよく聞かれる」と切り出した。
「ご夫婦の中でも、時には顔を見たくないとか、ご飯作るのが嫌になる時もあるでしょう」と聴衆に笑いを誘い、「村井知事とは、仕事上のパートナーとしてそんな関係なんです」と続けた。
会場は和やかな笑いに包まれたが、郡市長はすぐに真剣な表情に戻り、医療や観光政策など県市の協働分野に言及した。
医療体制への危機感「2050年にピークを迎える」

郡市長がとくに力を込めたのが、医療提供体制の強化だ。
「仙台市では2050年に高齢化が進み、医療需要がピークを迎える。通院も入院も在宅も含め、今から体制を整えなければ間に合わない」と警鐘を鳴らした。
その上で、「次期の県医療計画の構想を立てるにあたり、仙台市の意見をしっかり聞く」と村井氏が公約に書き込んだことを紹介し、「絶対にやっていただかなければ困ります」と念を押した。
また、八木山の日赤病院移転後の地域医療の空白にも触れ、「地域のニーズは大きい。財政的な支援をお願いしたい」と訴えた。
OECD会議へ「パリでの連携」も強調

郡市長は演説の翌日、OECD(経済協力開発機構)の会議出席のためパリへ出発予定だった。
「村井知事と一緒に海外観光客の誘致に取り組んできた。現地では県職員とともに物産展を開き、仙台・宮城・東北を紹介するガイドブックを発売してもらう」と報告。
インバウンド需要の拡大に向けた“県市一体の海外戦略”を強調した。
「誤った情報の拡散は困る」自身の経験を踏まえて
郡市長はまた、自身の夏の市長選でSNS上に「メガソーラー推進で森林伐採を容認している」との誤情報が拡散された経験を引き合いに出した。
「根も葉もない情報が拡散され、本当に困った。正しい情報をもとに判断してほしい」と訴え、村井陣営への中傷にも理解を示した。
「仕事上の旦那さんに投票を」最後は笑顔で握手

演説の終盤、郡市長は「宮城の未来、日本の未来のためにも棄権せず投票を」と呼びかけ、
「私の仕事上の旦那さんである村井嘉浩」とユーモラスに締めくくった。
最後は村井氏とがっちり握手を交わし、会場には拍手と笑いが広がった。
県と市の関係を“夫婦”にたとえた郡市長の言葉。
ときに対立しながらも、互いの立場を尊重し合いながら歩んできた協働関係を象徴する応援演説となった。
仙台放送
