あなたの家の壁や窓にも、厄介な”客”が増えていませんか?今年の秋、東北地方を”異常発生”と呼べるほどのカメムシの大群が襲っている。この裏には、昔から伝わる「カメムシ多い年は大雪」ということわざが隠されているのかもしれない。自然界からの警告と冬の天候の関係性に迫る。

■異常に多いカメムシ
「今年はいつもの年よりカメムシが異常に多い」との情報が #空ネット に複数寄せられている。また「カメムシ大量発生中 窓開けたいのに…」という悩みの声も届いていて、多くの人がカメムシの増加に気づいているようだ。
福島テレビの斎藤恭紀気象予報士は「カメムシが多いと今年は雪が多くなるのか」という視聴者からの問い合わせが増えていることを紹介。
実際に福島市大笹生では、去年も多かったものの、今年はさらに目を疑うほどカメムシが大量発生しているという。

■秋に見かける主なカメムシの種類
福島で秋によく見られるカメムシには主に2種類ある。「チャバネアオカメムシ」は白い壁や明かりを好む性質があり、白いTシャツやシーツに集まってくる特徴がある。もう一つの「クサギカメムシ」は住宅の中に入り込みやすく、誤って踏んでしまうと強烈な臭いを放つことで知られている。

■カメムシ大量発生の原因
なぜ今年はカメムシが特に多いのか。その理由を理解するには、カメムシの一生を知る必要がある。
カメムシは春に越冬から目覚め、夏は野山で生活しながらスギの実などを主食としている。秋になると越冬地を探して人里に下り、冬は住宅のすき間や木の皮などで冬を越す。
福島県病害虫防除所によると、「スギの球果(実)が6月〜7月に多いとエサがありカメムシが多くなる傾向がある」とのこと。今年は春の花粉症が例年より厳しかったという事実と関連があるという。斎藤気象予報士は「花粉症のひどい年はカメムシまでひどいということになる」と説明した。

■ことわざの科学的解釈
福島県金山町には「晩秋に臭虫の多い年は深雪」ということわざがある。斎藤気象予報士はこの言い伝えについて、科学的な視点から次のように解釈した。
1. 夏に暑いとカメムシが好むスギの果実が多くなる
2. 秋にカメムシが大量発生する
3. 昔から「夏に暑いと冬は寒くなる」ことが多かった
4. このような季節の変化の観察から、カメムシと大雪を結びつける言い伝えが生まれた
つまり、カメムシの多さと大雪には直接的な因果関係はないものの、両者の背景には共通する気象条件があるという説明だ。

■今冬の予報
最後に斎藤気象予報士は「今年は寒い冬になりそう。そして雪の多い年になりそうなんです」と締めくくった。カメムシの大量発生という自然現象から、東北地方の今冬は例年以上の寒さと雪が予想されるようだ。
住宅に侵入するカメムシに悩まされている人は多いが、その姿は冬の天候を先読みする自然からのサインかもしれない。防寒対策と雪への備えを早めに始めておくと良いだろう。

※2025年10月20日(月)に放送した福島テレビ「テレポートプラス」の天気コーナー「福テレ空ネット」から抜粋した記事です。気象情報などは最新の情報をご確認ください。

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