海岸沿いや山間など、福井県内の道路を走っていると謎の少年像”がひっそりと立っている。名前も分からず、仕草も、表情も違う謎の少年像。県内に点在する小さなミステリーを追った。

まずは、北陸道の福井ICから車で北西方面へ、日本海に面した福井市大味町へ車を走らせる。
福井市と越前町を結ぶ県道6号(福井四ケ浦線)沿いに、その謎の少年像の一つがあった。

半袖にオーバーオール姿。足元を見ると…素足にスニーカーだ。
腰に手を当て、眠そうに大きなあくび。台座には「ひとやすみ」と書かれている。
誰が何のために置いたのか、正体は不明だが、せっかくなので少年の言う通り、ここでひとやすみすることに。

続いて向かったのは、福井県東部にある大野市東勝原。山際には滝が流れる自然豊かな場所。一帯を見回してみると…「谷間のやすらぎ」と書かれた台座が目に入った。
しかし、そこに少年の姿はない。靴だけが残され、少年はこつ然と姿を消していた。
一体どこへ行ってしまったのだろうか。

県内各地に、仕草も表情も違うこの謎の“少年”たちが点在しているのは、一体どういうことなのか。県に問い合わせたところ、1980年代後半の昭和62年から平成3年にかけて県が進めた「沿道スペース美化事業」の一環で設置されたものということが分かった。

交通事故の急増が社会問題となっていた当時、ドライバーに“ひとやすみ”してもらうため、駐車スペースや道路の余裕地がある主要な道路沿いに29体整備したという。
ただ、詳しい資料は残されておらず、消えた少年像の行方などは分からないままだった。

台座に書かれた「ひとやすみ」の文字からか、いつの間にか「ひとやすみ坊や」と呼ばれるようになった少年像。

本当の坊やの名前も分からないけれど…絶景で知られる東尋坊や雄島へ向かう途中にある「ひとやすみ坊や」の視線の先には、青く澄んだ空と日本海が広がっていた。