永田町の動向が注目される中、政治家の象徴「議員バッジ」の話題です。

福岡県議会が材質の見直しを発表しましたが、県内の全60市町村を調査すると意外な結果が見えてきました。

高市政権が発足し新たな転換点を迎えた永田町。

21日朝早く登院した議員の胸元では議員バッジが光り輝いていました。

1999年の福岡市議会でも記者のこんなリポートがありました。

◆記者リポート(1999年)
「スーツの左襟に付けられた議員バッジは初当選の喜びに加えて市政を担う責任の重さを実感させるものとなったようです」

国政のみならず地方でも「議員の証」となってきたバッジですが、変革の時を迎えています。

福岡県議会は10月、議員バッジの材質を見直し、現在の18金から金メッキに変更すると発表しました。

背景にあるのが金(きん)の価格高騰です。

県議会によりますとバッジの購入費用は金の高値が続いている影響で2022年度までの4年で倍以上となりました。

今回の材質見直しで総額約3000万円の購入費用は15分の1まで抑えられる見込みです。

大幅なコストカットに服部知事は…。

◆福岡県 服部知事
「財政的にも助かりますし、事業の見直しとして非常にありがたいと思っています」

材質の変更が決まった議員バッジについて街の人は。

◆60代(福岡市)
「バッジを誇りにしている気持ちもあるのかなと思う」

議員バッジの伝統を尊重する声がある一方で、その必要性を疑問視する意見も多く聞かれました。

◆20代(福岡市)
「(バッジは)いらないというか…別のところに税金を使ってほしい」

Q.例えば?
◆20代(福岡市)
「子供関係のこと」

◆80代(福岡市)
「(バッジは)つけなくてもいいと思う。税金の無駄。ずっと使うわけではないし」


では、福岡県内の各自治体で議員バッジはどうなっているのか、「記者のチカラ」では全60市町村を調査。

議員バッジの材質や価格を尋ねたところ7割以上の自治体が「金メッキ」などの仕様で5000円前後であることが分かりました。

それに比べて価格が高かったのが順に福岡市、北九州市、久留米市で、このうち北九州市ではすでに材質の変更に踏み切っていました。

取材班は北九州市へ。

◆記者リポート
「議員バッジ見直しの経緯に詳しい市議の事務所がこちら。訪ねてみます」

北九州市議会で議会運営委員会の委員長を務める西田一議員です。

◆北九州市議会 西田一 議員
「こちらが以前使われていたバッジ。これが新しいバッジ」

Q.むしろメッキの方が…
◆北九州市議会 西田一 議員
「メッキの方が(新しいので)ピカピカですけど、基本は全く変わらない」

北九州市では2月に議員バッジの材質を18金から「銅に金メッキ」という仕様に変更し、価格は1個約2万5000円から1万円あまりになりました。

◆北九州市議会 西田一 議員
「去年の時点で金の高騰が続いていたので、このまま同じバッジをそろえると大変なことになるのではと、少しでも経費削減という動きは当然広がるものだと思う」

一方、バッジ1個あたりの購入費用が約2万3000円と県内で最も高かった福岡市では…。

◆福岡市議会 中山郁美 市議
「(任期が)6期目なので、これが6個ですね」

福岡市議会の中山郁美議員によると、当選するたびに新しいバッジが提供されるといいます。

バッジは合わせて6個で総額約14万円。

古いバッジを返却する必要はないということです。

◆福岡市議会 中山郁美 市議
「国会の議員バッジが福岡市より安い。1万5000円くらいと聞いている。どれだけかかるか調べているが、高すぎるということになれば見直すこともある。議会での議論が前提となる」

福岡市議会の事務局に問い合わせたところ「議会から材質変更の提案があれば前向きに検討したい」としています。

金の価格高騰を巡り各自治体で対応が分かれる議員バッジ。

さらに取材を進めるとバッジを巡る深刻な問題も浮き彫りとなってきました。

それは「議員バッジの転売」です。

東京都議会の議員バッジは金メッキではなく「10金」が使われていますが、このバッジがインターネットのオークションサイトに出品され、3万4100円で落札されています。

都議会の議員バッジの裏には番号が記されていて「現役議員が転売すれば番号で分かるので現役議員による出品ではないだろう」ということです。

税金で作られているバッジが個人の収入になっている形で、悪質といえそうです。

テレビ西日本
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