連日、多くの観光客が訪れている京都・嵐山。
その観光名所・竹林の小径で、ある迷惑行為が相次いでいます。
竹の表面にさまざまな文字で刻まれた落書き。
漢字で「理恵・祐希」と書かれたものや、アルファベットで「Revengers」と書かれたものも。
中には、上から下までびっしりと落書きされた竹もありました。
観光客は「こういった伝統のものなので、あんまり良くないかなと」「はっきり言って、どうかしてると思っている。なぜそんなことをするのか分からない」「とても悲しいです。ここまで育つのに時間がかかるのに」などと話していました。
道路の脇に青々とした竹が生い茂る、竹林の小径。
まるで竹のトンネルを歩いているかのような雰囲気を味わえるとして、国内の観光客のみならず、外国からの観光客にも人気のスポットとなっています。
竹林の小径には日本語の他、中国語や英語など、3つの言語で落書き禁止を呼び掛ける看板が設置されています。
しかし、取材班が落書きされた竹の数を数えたところ、少なくとも300本以上あることが分かりました。
この辺りの竹林の管理を行っている人力車のえびす屋の運営会社の満井一貴さんに話を聞くと「(Q.落書きは何年前から?)7~8年前かなという気はするが、この1年、2年ぐらいでまた増えてきたという気はする。先のとがったもので傷を入れているのが多い」と、落書きは7~8年前から増え始め、コロナ禍でいったんは減ったものの、ここ最近再び増えているといいます。
こちらの会社では、落書きをしないよう呼びかけた啓発ポスターを人力車に貼っている他、落書きされた竹の一部に養生テープを貼って目立たなくするなどの対策をとっています。
えびす屋總本店・満井一貴さん:
見栄えも良くないし、できれば(養生テープは)したくはないが、落書きされているよりは貼ってるほうがましかなと。きれいな景色を見ていただきたいので、こういう落書きはやめてほしい。
落書きの影響は、景観を損ねるだけではありません。
専門家は、竹の生育にも影響が出ると指摘します。
京都府立植物園 樹木医・中井貞さん:
(竹は)表面もすべて植物細胞で成り立っていて、傷がつくことによって、そこの細胞はもう再生することはない。(Q.以前の色を取り戻すことは難しい?)その箇所が再生するということはない。
さらに、落書きされた竹は倒れてしまう危険もあるといいます。
京都府立植物園 樹木医・中井貞さん:
(落書きが)少しの量であればそれほど影響はないかと思うが、全体に行き渡るような傷がつくと、植物体全体が光合成をしているが、光合成ができづらくなって、枯れてしまうことが考えられる。放っておくと倒れてしまう。
京都市は、落書きされた竹の伐採も検討しているということです。
人気観光地での許しがたい迷惑行為。
訪れた人、一人一人のマナーが問われています。