先日行われた北朝鮮の軍事パレード。その映像には、北朝鮮の脅威が新たなフェーズに入っていることを示す物が映り込んでいました。
「火星20型」警戒か…米最新鋭「EA-37B」が日本初展開
10月10日、平壌で行われた軍事パレード。

注目されていた、多くの弾頭を搭載できる新型ICBM「火星20型」は、年内にも発射実験を行うとの観測が出ていましたが、実はアメリカ軍は、今回のパレードを前に異例の態勢を敷いていました。
パレードの2週間ほど前、沖縄・嘉手納基地でカメラが捉えた珍しい機体。日本に初めて展開したアメリカ空軍最新鋭の電子戦機、「EA-37B(コンパスコール)」です。
能勢伸之フジテレビ特別解説委員:
ミサイルも爆弾もない代わりに、機体の出っ張りから出す強力な電波が武器で、敵の防空レーダーを無力化し、発射準備中の敵ミサイルを攻撃する味方の軍用機を支援することが任務です。

さらに翌日、長崎県の佐世保基地に、ハワード・O・ローレンツェンが入港。巨大なレーダーを持ちミサイルを監視できる、アメリカ唯一のミサイル追跡艦船です。
そして嘉手納では、こちらも3機しかない内の1機、発射後の弾道ミサイルの監視を行うコブラボール偵察機が離着陸していました。
日本周辺でのミサイル発射を警戒し、神経をとがらせていたアメリカ軍。その一方、今回のパレードでは、北朝鮮の脅威が新たなフェーズに入っている証拠も見え隠れしていました。
極超音速ミサイル「火星11型マ」
キーワードは、「ロシアの影」。

初めてヴェールを脱いだのは、極超音速ミサイル「火星11型マ」。発射後にマッハ5以上の極超音速に加速し、その後切り離され先端部は操縦翼で上下左右に動いてミサイル防衛をかわし、安定翼でグライダーのように滑空します。
能勢伸之フジテレビ特別解説委員:
この「火星11型マ」の原型は、ロシア製の短距離弾道ミサイルの流れを汲むとされています。元のミサイルより飛距離が伸びて日本に届く可能性も否定できないんですが、ロシアの技術支援を受けたと考えるのが自然です。

パレードには、ほかにもロシアとのつながりをうかがわせる「チョンマ-20」戦車も登場。
4方向を向いた砲塔のレーダーで、飛んでくる対戦車ミサイルを捕捉し、自動的に迎撃弾を発射する装置があります。この防御システムの配置が、ロシア最新のT-14型戦車の物と似ているとされているのです。
ロシアとの軍事関係を深める北朝鮮。日本は、かつてロシアの空中発射極超音速弾道ミサイルを迎撃した実績があるPAC-3を配備。そのうえで、アメリカと極超音速ミサイル迎撃用のGPIミサイルの共同開発にも乗り出しました。
極東の安全保障は今、新たな局面を迎えています。
(「イット!」日曜安全保障 10月19日放送より)