名古屋市東区で、長年親しまれてきたケヤキの木が伐採されることになりました。根元の腐食が進み、倒木の危険があるためです。昭和の時代に植えられた街路樹に今、寿命の波が押し寄せています。

■地元の人に愛されてきたケヤキが…
名古屋市東区東桜にある大きな2本のケヤキ。樹齢はおよそ70年で、幹は太く、葉っぱは青々と茂っていて、まだまだ元気なように見えます。
しかし、名古屋市の職員が10月16日に点検した結果、すでに根元の部分が腐り始め、台風などで倒木の危険があるため、事故が起きる前に伐採することになりました。

東土木事務所の担当者:
「この辺が空洞になります。低い音ですね。空洞じゃない箇所は高い音がします」
名古屋は、空襲で焼け野原となりました。しかし、1954年に当時のテレビ塔から撮った写真では、東桜周辺にすでに街路樹があることが分かります。

長年近くに住む人(86):
「(樹齢は)65~70年ほどたっているんじゃないですかね。区画整理が終わった時に植えた木じゃないかなと思うんですけれど。本当に寂しいことですね。戦前から知っている人は、だんだん亡くなってきている」
長年、地元の人々に愛されてきたケヤキ。憩いの場となるよう、小さな池も作られました。
木を弱らせる原因になっているのが「コフキサルノコシカケ」です。広葉樹に生えるキノコで、漢方にも使われています。

東土木事務所の担当者:
「キノコが木から栄養を取って腐朽させる。今年度に入って確認したところ、腐朽箇所が広がったということで、倒木するリスクが高まったということで伐採することにしました」
■まだ元気そうなのになぜ?伐採の背景は
2022年、名古屋の繁華街・栄の大津通でケヤキの木が倒れ、信号待ちをしていた乗用車を直撃しました。その後の調査で、根元が腐っていたことが分かっています。

名古屋市では昭和40年代、都市の緑化のため、多くの街路樹が植えられました。しかし50年以上が経ち、老木化が進んだことから年間300本ほどを撤去しています。

東土木事務所の担当者:
「名古屋市の街路樹につきましては、高木化・老木化しておりまして、倒木のリスクなど様々な問題を抱えております。順次、不健全な樹木は伐採して、できれば新しい、そんなに大きくならない木を植えていきたいと思っております」
■目に見えない「街路樹の危険」見抜くには…
昭和の時代に植えられた街路樹では、以下のようなサインが出ていると要注意だといいます。

・キノコが生えている → 木の養分をとられている
・木に穴が開いている → 腐食が進んでいる
名古屋市内の街路樹は、1970年代から80年代にかけて多く植えらましたが、現在はおよそ9万本まで減っています。

その理由にあるのが「老木化」や「大木化」です。木が古くなっているだけでなく、信号が見づらかったり、歩道の幅を確保するために伐採しているケースもあるということです。

また、植える木も変わってきています。以前は「アオギリ」と呼ばれる木が、成長スピードが早く厳しい環境でも育つということで、よく植えられていました。最近は住宅街などを中心に「ハナミズキ」など大きくなりすぎない、そして剪定がほぼ不要でコストがあまりかからない木を増やしているということです。