創業150年を超える秋田・湯沢市の味噌しょうゆの老舗醸造元が、世界に味噌やしょうゆの素晴らしさを発信しようと観光客向けのツアーを受け入れている。蔵の隅々まで見学でき、味噌を味見したり、味噌の酵母を使ったコース料理を楽しんだりと特別な体験ができるツアーは評判を呼び、国の内外から多くの人が訪れている。

蔵元ならでは味噌しょうゆ“味比べ”

創業150年を超えるヤマモ味噌醤油醸造元(秋田・湯沢市)
創業150年を超えるヤマモ味噌醤油醸造元(秋田・湯沢市)
この記事の画像(8枚)

江戸時代最晩年の1867年から続く老舗の味噌しょうゆ醸造元、湯沢市の「ヤマモ味噌醤油醸造元」。

ここでは観光客向けに、蔵を見ながら味噌やしょうゆなどを味見し、蔵元独自の酵母を使った料理なども楽しめる「TOUR LUNCH」というツアーを実施している。

看板商品の「あま塩しょうゆ」を試食し、しょうゆ工場を見学したあとは、味噌の仕込み蔵で熟成期間が1年・5年・30年と異なる3種類の味噌の食べ比べができる。

30年熟成させた味噌はうまみ成分の厚みが増しているという
30年熟成させた味噌はうまみ成分の厚みが増しているという

それぞれに全く違ったおいしさがあり、30年の熟成味噌のうまみとコクは格別だ。

案内してくれたスタッフの澤口駿亮さんが「30年の熟成の中で、こうじ由来の甘みは全部酵母が食べ切っていて、甘みは感じないくらい無い状態。その分うまみ成分がすごく厚みがあり、リッチなものになっている」と教えてくれた。

独自“酵母”使った料理を楽しむ

続いて訪れた蔵では、ヤマモが発見した味噌の酵母を使った前菜とオリジナルのワインが楽しめる。

パイの上にリンゴと豚肉を重ねた前菜
パイの上にリンゴと豚肉を重ねた前菜

前菜は、パイ生地に酵母で発酵させた豚肉やリンゴを重ねたもので、風味豊かに仕上がっている。豚肉はとても柔らかく、肉とパイとリンゴの色々な食感が一度に楽しめる。

ツアー終盤は、蔵に併設されたレストランでコース料理を味わう。ラインナップは、スープやリゾットなど5品で、全てにヤマモ独自の酵母が使われている。

メイン料理「エゾシカのフィレ肉」 ソースには30年熟成させた味噌が使用されている
メイン料理「エゾシカのフィレ肉」 ソースには30年熟成させた味噌が使用されている

メイン料理はエゾシカのフィレ肉。酵母の発酵液に漬けた肉はうまみが凝縮され、30年熟成させた味噌のソースが素材そのものの味を引き出している。

地域を大切にしながら世界に発信

蔵を巡りながらヤマモの歴史を感じられるツアーには、国の内外から多くの人が参加している。

ツアーの始まりは8年前。18年前に家業を継いだ7代目の高橋泰さんが、代々受け継がれてきた味を守りながらも新しい挑戦をしようと始めた。(※高橋さんの「高」は「はしご高」)

高橋さんが大切にするのは、「地元」と「世界」の2本の軸だ。

新しい挑戦をしようとツアーを始めた7代目の高橋泰さん
新しい挑戦をしようとツアーを始めた7代目の高橋泰さん

ヤマモ味噌醤油醸造元 7代目・高橋泰さん:
土着的なものこそ世界の人たちが求めていくものになるだろうという思いがある。戦略的に考えているところもあれば、元々自分が興味を持っていた範囲そのものというところもある。

2023年に地元の八幡神社の氏子総代に就任し、地域貢献にも努める高橋さんは、「現代人も過去を尊敬しつつも、そこに挑戦していく姿によって再生がなされていくという道筋をつくりたいと思っているので、地域づくり・まちづくりに貢献していきたい」と語る。

ヤマモ味噌醤油醸造元の店内
ヤマモ味噌醤油醸造元の店内

ヤマモ味噌醤油醸造元は、これからも地域とのつながりを大切にしながら、湯沢の老舗の歴史と味を世界に発信し続ける。

あなたも伝統と革新を肌で感じに出かけてみてはいかがだろうか。

(秋田テレビ)

秋田テレビ
秋田テレビ

秋田の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。