マイナスからの好感度アップ?

紹介者である旅館の女将が取りなして、しばらくの間は“お試し期間”として働くことになった。その間に評価を上げて正式採用してもらおうと、セツは必死に働く。

彼女はもともとが完璧主義者で、何事にも手を抜くことができない。そのため、普通でも長時間労働を強いられる辛い仕事が、さらに時間を要して辛く過酷なものになってしまう。が、手抜き仕事は自分のプライドにかかわる。また、人一倍負けん気が強い彼女は、誰よりも高く評価されたいと頑張ってしまう。

セツが恋占いをしたと言われる八重垣神社
セツが恋占いをしたと言われる八重垣神社

そんな性格ゆえに、機織りの仕事では最優秀の技術を持つ女工のひとりとして知られるようになっていた。

女中仕事も完璧にこなして、雇主の八雲からの評価も上々。また、一緒に暮らすうちに「士族ノ娘ナイ」という彼の疑いも晴れた。

セツの所作や言葉遣いには気品が感じられ、礼儀作法がしっかり身についている。会話をすれば高い教養が端々に感じられ、茶道や華道などの芸事もひと通りこなす。庶民の娘とは違う、士族の出身であることは間違いない。と、疑り深い八雲も自分の勘違いに気がついたようだった。

また、セツはコミュニーケーション能力が高い。英語ができなくても、八雲が知る数少ない日本語の単語を駆使して、自分の意思を伝えてくる。頭の回転が早く八雲のつたない日本語もすぐに理解してくれる。ストレスを感じることなく会話を楽しむことのできる相手は、外国人の八雲には貴重。それだけに好感度は爆上がり。