11月に東京で開幕する聴覚障害者の国際スポーツ大会『デフリンピック』。バレーボール女子日本代表に新潟県長岡市の中越高校に通う高橋朋伽選手が選ばれた。耳が聞こえない中でプレーする難しさやバレーボールに懸ける思いを聞いた。
デフバレー日本代表の高校生!普段は耳の聞こえる部員たちと練習
新潟県長岡市の中越高校女子バレーボール部。熱心に練習に励む部員の一人が3年の高橋朋伽(たかはし・ほのか)だ。

高橋は2年前から徐々に耳が聞こえづらくなり、今は全ての音が聞こえない。しかし、普段は耳の聞こえる部員と同じ練習に取り組んでいる。
日常生活では筆談や音声を文字化するアプリを使いコミュニケーションを図っているという高橋。
バレーボールはまだ耳が聞こえる小学3年時に友達に誘われて始め、約9年間続けてきた。

そうした中、11月に東京で開かれる聴覚障害者の国際スポーツ大会・デフリンピックの日本代表に選出。
選ばれた時の心境を聞くと、「不安や驚きが大きかった」と言うが、「選ばれたからにはしっかりやろうという責任感と喜びもあった」という。
「ガッツあるプレー」強み生かしコミュニケーションの壁乗り越える
仲間のかけ声や指示など、コート上での音が聞こえないデフバレー。
高橋もコミュニケーションの壁を感じると言うが、普段から自分の強みを生かしてプレーしている。

本間克敬監督は「ガッツ・パワーのあるプレーでチームを引っ張っていくような力がある選手」と高橋を評価。
さらに、練習中の様子については「ハンデを感じさせない笑顔やこちらに気を遣わせないような表情をしてくれる。あまりハンデが気にならず、他の部員と同じように接することができている」と話す。
ジェスチャーでメッセージ発信 前向きな姿勢はチームのプラスに
そんな高橋に注目していると、練習中、ある動作を何度も繰り返していることに気付いた。

それは両手をたたく拍手の動作だ。声の代わりに、ジェスチャーや表情で自らの存在感を示し、メッセージを発信していた。
その思いはチームメイトにもしっかりと伝わっていて「笑顔で明るい。耳が聞こえない・しゃべれない分、表情でチームを明るくしてくれる」「視野が広くて気遣いとか周りを見て行動できるところが一番すごい」と高橋について話す。
声を発せなくとも前向きな姿勢はチームのプラスになっているようだ。
目指すは金メダル!デフリンピックへ意気込み「活躍し恩返しを」
仲間や家族の支えを受け、全身全霊でバレーボールに打ち込む高橋。

最終的な目標は「自分の武器のサーブで勢いを与え、持ち味の笑顔でチームを支え、全員で金メダルを獲得する」こと。
日の丸を背負って戦うデフリンピックでは「自らの活躍で恩返しをしたい」と力強く意気込んだ。
日の丸を背負って戦う高橋の活躍に期待だ。