昭和天皇の后(きさき)で戦前・戦後の激動の時代を生きた香淳皇后。公開された「香淳皇后実録」には、1903年の誕生から2000年に亡くなるまでの97年の生涯がまとめられています。

14才で昭和天皇との結婚の予定が決まり、23才で皇后に。30才で初めて男の子、上皇さまを出産したことなどが年代に沿って記載されています。
「実録」には音楽にまつわる記載もあります。

「昭和天皇記念館」には、香淳皇后の若い頃のドレスや和歌をしたためた直筆の短冊と共に、愛用のバイオリンも展示されていました。バイオリンは孫の陛下をはじめ家族のために奏でたものです。

昭和天皇記念館の梶田明宏館長は、「香淳皇后はご結婚前は声楽、それからピアノをされていましたが、結婚後にバイオリンをされております。昭和天皇にとっても、癒やしの場になっていたのではないかと思います」「これを機に昭和天皇や香淳皇后のご事績を知って頂けたらうれしいです」と話します。
実録には昭和38年の1月、香淳皇后が上皇さま(当時皇太子)のチェロと合わせバイオリンを演奏し、その後当時2歳だった陛下のウクレレ演奏を聴かれたことが記載されています。

陛下が音楽に親しむ家族の中で成長されたことがわかります。同じく昭和38年に撮影された写真には、ご一家で香淳皇后のピアノ演奏を聴かれ、幼い陛下も母・美智子さまと共にソファに座り耳を傾けられている様子が記録されています。
約3800ページに及ぶ「香淳皇后実録」は、今回初めて、誰でも閲覧できるよう、宮内庁ホームページで公開されています。
(昭和天皇記念館の企画展示「 若き日の香淳皇后 ~御服とゆかりの品々~ 」は12月27日まで)