「CGMは本来、医師の指導の下で糖尿病患者の治療に用いる高度医療機器です。健康な人を対象とした精度検証はほとんど行われていません。血糖値が上がっている、下がっている、という傾向を把握する参考にはなりますが、表示される値は、採血して測定した結果とは異なる可能性があります。ある機種ではとくに、低めの値を示す場合は誤差が大きく出やくなっています」
例えば、CGMの数値が低血糖の基準である70mg/dLを下回ったり、逆に食後の血糖値が糖尿病の診断基準の目安の一つである200mg/dLを上回っていても、実際にはその数値になっていない可能性があるというのだ。
強い空腹感や手の震え、冷や汗といった症状が特徴の低血糖。もし繰り返し症状が出るようであれば、安易に自己判断せずに専門医を受診してほしい。
大坂 貴史(おおさか・たかふみ)
医師。綾部市立病院 内分泌・糖尿病内科部長、京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学講座
客員講師・臨床准教授。糖尿病専門医・指導医、総合内科専門医、日本医師会認定健康スポーツ医。糖尿病と筋肉、糖尿病運動療法が専門。病院の外で「糖尿病で不幸になる人を減らす」活動をしている。Xでは「筋肉博士」として医療情報を発信中。近著に『血糖値は食べながら下げるのが正解』(KADOKAWA)。
取材・文=黒木里奈