サ活という言葉に代表されるように、近年ブームとなっているサウナ。このサウナを通して地域経済の活性化を目指す取り組みが始まっています。活用しているのは役目を終えた路線バスです。
フィンランド発祥と言われるサウナ。
サウナの効果によって心身のバランスが取れた状態を意味する「ととのう」は、2021年のユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされました。
利用客:
汗をかくのがすごく僕は気持ち良い。むしろ汗をかきに来ている
利用客:
暑くなって冷たくなってのままだと疲れが残るが、その後の外気浴で10分、15分休憩することで心身ともにリラックスするところが1番の良いところ
最近では、災害時にお風呂代わりに活用できるトレーラー式のサウナも開発されています。
ファンフォート・小池敬太郎さん:
災害時、避難所でストレスがかかる場所でも使用できる。薪式の加熱器を使用している。ライフラインが寸断してもサウナトレーラーは使用できる。有事の際に駆けつける準備をしているので、こうした商品、車両があることを知っておいてほしい
こうした中、8月28日に静岡県静岡市でお披露目されたのが移動型のサウナバス、通称・サバス。
元々は路線バスとして使用されていた車両を5カ月かけて改良しました。
なぜ、バスでサウナなのか?
静岡鉄道 未来事業創造部・二村昌輝 部長:
静岡県の特徴であるお茶を意識して段々茶畑にしている
段々茶畑をイメージしたスノコの配置や、水にかわってお茶を熱した石にかけて蒸気を浴びるロウリュなど、静岡らしさにこだわったというこちらのサバス。
兵庫県、そして神奈川県で運行している車両に続いて全国で3台目です。
静岡鉄道 未来事業創造部・二村昌輝 部長:
私も静岡県出身で、静岡には本当に富士山・駿河湾・お茶・様々な観光資源があるが、オーバーツーリズムと言われている状態でありながら静岡県は観光の消費額が上がっていないという課題がある。こういった課題に関して強烈なコンテンツが作れないかということで、こちらのサウナをきっかけに人を呼ぶというコンテンツを作った
9月に御殿場市で開催されたイベントには、県内だけでなく関東や関西方面から100人の愛好家が集結。
車内で汗をかき、富士山の湧水を使った水風呂に入った後はベンチに腰を掛けてととのいます。
参加者:
最高です。バスの中にいるのが不思議な感じがする
参加者:
初めて入るがほかにない空気、雰囲気が味わえてとても良い
参加者:
普段はどうしても室内なので、外で水風呂とかサウナに入る機会がないので良かった
参加者:
茶畑をイメージした椅子で静岡を感じられるような室内が良かった
参加者:
お茶のにおいが良い香りがして漂ってくる中でのバスという空間が、今までに体験したことがないサウナの空間だったので非常にうれしかった
ただ、静岡でサバスを実現させるためにはある障壁がありました。
それは公衆浴場に関わる県の条例です。
これまで、サウナは外から中の様子が見えないようにしないと設置が認められていませんでした。
そこで、二村さんたちは条例の緩和を鈴木康友 知事に要望。
その結果、水着などの着用を条件としてサバスの運行が可能になりました。
静岡鉄道 未来事業創造部・二村昌輝 部長:
富士山を見ながら、駿河湾を見ながら、川の近くで、お茶畑の中で自然環境を生かして観光に活用できることがチャンスなのではないかと訴えた
県によると、宿泊費や飲食費など旅行者が旅先で使う支出額を示す観光消費額は全国の平均が4万4034円。
これに対し、静岡県内は2万2529円と下回っています。
静岡鉄道 未来事業創造部・二村昌輝 部長:
きょうみたいなイベントで静岡に足を運んでもらうことももちろんですし、ツアーの中にこのサウナ体験を組み込んだウェルネスツーリズムを売ることやホテルや飲食店と連携をすることによって、消費額を増やしていく取り組みができないかというチャレンジをしたい
静岡らしさを活かした新しい形のサウナは観光資源になり得るのか…目指すは地域経済の活性化です。