秋田県を含む全国各地でクマによる人身被害が増え続けている。万が一クマと遭遇した時、どう命を守るのか。クマを追い払うグッズとして準備する人も多い「クマ撃退スプレー」に注目した。
クマスプレーは“最終手段”
9月18日、秋田・鹿角市八幡平で、電柱の点検をしていた作業員2人がクマに襲われた。

その際、その場にいた別の作業員がクマスプレーを使った。
秋田県の分析では、このスプレーによって被害を最小限に抑えられた可能性がある。

いざという時のためにスプレーを携帯している人は多いと思うが、選び方や正しい使い方を知っているだろうか。
あきた森づくり活動サポートセンターで専門指導員を務める福井敬二さんに教えてもらった。

福井さんは「クマスプレーは、クマにばったり遭ってこれ以上逃げ場がないとか、どうしようもないときは頼っても良いが、クマと人間が互いに危害を与えない同士だと分かればクマも撤退するため、それを待つ。“最終手段”でスプレーを使うのが良い」とアドバイスする。
噴射時のポイントは“距離”と“風向き”
実際にポールをクマに見立てて、使い方を教えてもらった。
クマに遭遇してしまったら、まずは後ずさりしながら落ち着いてクマ撃退スプレーを準備する。

すぐに取り出せるように携帯することが重要だ。
そして安全クリップを外し、クマの顔、特に“目と鼻の間”を目がけて噴射する。
噴射の際のポイント、一つ目は「クマとの距離」。

今回使用したスプレーは、クマとの距離が約5~8メートルで使用可能のもの。5メートルではポールに届いたが、10メートル離れると届かなかった。
使用できる距離は製品によって異なるので、よく確認して選ぶことが大事だ。
二つ目のポイントは「風向き」。

スプレーの主な成分はトウガラシに含まれるカプサイシン。人に当たった場合、視界が奪われる恐れがある。
風下に立って使用しないように気を付けよう。安定した姿勢を取ることも重要だ。
噴射できないときは“防御姿勢”を
クマは、100メートルを6秒で駆け抜けるほど足が速いとされている。

スプレーが間に合わない場合は、即座に首を両手で覆い、地面にうずくまる“防御姿勢”を取ろう。風向きによって噴射できない場合も同じだ。
クマスプレーは現在、ホームセンターなどで購入できるが、環境省によると、国内では明確な規制がない。アメリカは環境保護局(EPA)が定める基準がある。選ぶ際は、EPA認可のスプレーが一つの目安となる。

スプレーの下部に「EPA Registration #番号」と書かれたものが目印だ。
ただし、クマスプレーはあくまでも最終手段。まずはクマに遭遇しないことが重要だ。
1人で行動しない、鈴やラジオなどで音を鳴らしてクマに自分の存在を知らせるなど、できる限りの対策を取ることを忘れてはいけない。
(秋田テレビ)