晴れていれば北アルプスが望める田園地帯にホテルの建築計画が浮上。
地元住民から不安の声が上がっています。
近くに住む人:
“田舎らしさ”という部分が消えてしまう。景観が大きく崩れてしまうのではと危惧。
ホテルの建設が予定されているのは長野・安曇野市。
わさびの田んぼ「わさび田」などの田園風景が広がり、一大産地として知られています。
JR穂高駅近くの国道沿いに地上7階、高さ28メートルのホテルが建設されるこの計画。
安曇野市は景観を守るため、ガイドラインで建築物を高さ30メートル以内と定めていて、今回のホテルはこの基準に適合しています。
しかし、地元住民による市民団体が声を上げました。
安曇野に自然とわさび田を子どもたち世代に残す会・会長:
あ然。そんな大きなものが必要なの?大型バスで来る人たちがたくさん出入りするんじゃないかと。すごく驚いた。
団体は、計画の中止か変更を求める署名活動を始め、オンラインを含め4万筆以上が集まったといいます。
安曇野に自然とわさび田を子どもたち世代に残す会・会長:
せめて高くても(地上)4階とか、地域の景観に合う建物を建てるとか。話し合いたいということで(ホテル側へ)手紙を書いて出している。
美しい景観にほれ込んで東京から移住したという家族もいます。
東京から移住した人:
地域にホテルが建つことで経済は潤うと思うが、山の前に大きなホテルが見えると、ちょっと残念と思う。
さらに懸念されるのが、「わさび田」への影響です。
地域に湧き出る水は北アルプスの雪解け水。
市内のわさび農場には、ソフトクリームなど“わさびの味”を求めて多くの観光客が。
訪れた人は「群馬県からわさびソフトクリームをめがけて来た」「わさびがツンときておいしい」と話しました。
わさび農家は、ホテルの建設で地下に杭が打たれ、湧き水に影響が出ることを恐れていました。
わさび農家:
水の流れが変わってしまったり、水の量が減ってしまったりすると、わさびがここでは作れない。どんどん荒れ果ててしまうと心配。
一方、ホテル建設に賛成する声も。
レンタサイクル店:
ホテルができればにぎやかで良くなる。
安曇野市・宮下明博市議:
滞在型の観光が地元にお金を落としてくれる。相当な経済効果があると思う。
ホテル側は番組の取材に「近隣住民の皆さまを対象とした説明会を開催いたしました。説明会の中で『建設の際に杭工事の予定がないこと』を説明し、ホテル建設計画内容のご理解が得られるよう努めております」と答えました。