10月10日は「転倒予防の日」です。そこで、転倒による健康リスクについて考えます。65歳以上の高齢者の転倒・転落などによる死亡者数は交通事故による死亡者数の約5倍。クイズ形式で、家庭に潜む危険を一緒にチェックしましょう。
〈第一問〉
高齢者の転倒で起こりやすいのはどっち？
A：自宅内 B：外出先
正解は、Aの自宅内です。
〈第二問〉
リビングで危ない場所はどこでしょう？
答えは…カーペットの端や新聞紙やチラシ、電源コードなど“ちょっとしたもの”が転倒の原因になります。
福井県済生会病院の理学療法士・板倉史晃さんに高齢者にとっての転倒の危険性について話を聞きました。
「転倒すると、約10パーセントの人が要介護が必要な状態になるという風に言われている。介護が必要になるということは、すなわち健康寿命が短くなるので、転倒が凄く怖いといえる」
転倒の要因は加齢による身体機能の低下や病気、運動不足などで、「国民生活基礎調査（厚生労働省・2022年）」によりますと、高齢者の介護が必要となった主な原因は、認知症、脳血管疾患（脳卒中）に続き「骨折・転倒」が3位に。
家の中で転倒しやすい場所はと言うと…つるつる滑りやすそうな浴室でも、足を踏み外しそうな階段でもなく、実は居間やリビングにあります。
「高い段差であれば気を付けて意外と大丈夫だが、かえって1～2センチほどの段差の方がつまずきやすいとも言われているので注意が必要」と理学療法士の板倉さんは指摘します。
そのため▼段差を解消する、あるいは危ない場所には手すりをつける▼床に物を置かない（新聞・雑誌・リモコンなど）▼カーペットの端を固定するなど足元に注意した生活を心掛けましょう。
転倒リスクがある人の特徴は―
▼65歳以上の高齢者
特に女性は男性の1.5倍～2倍ほど転倒が多くなります。
▼筋力やバランス力が落ちている人
▼薬を5剤以上服用している人
薬を服用していない人に比べて、転倒のリスクは8倍ほどになります。
中でも睡眠薬や血圧を下げる薬などを飲んでいる人は注意して下さい。
理学療法士の板倉さんによると、転倒予防に良いのは筋力トレーニング・バランストレーニング・有酸素運動の複合的なものだといいます。
＜転倒予防の運動＞
▼片足で立ち、1回1分を1日3セット（左右どちらも）
▼5～6回ほどのスクワットを1日3セット
どちらのトレーニングも、一気に行うよりも1日の中で分けて行う方が良いそうです。
要介護の主な原因となる転倒。健康寿命が短くなることにつながりますので、今一度、自宅に危ない箇所がないかを確認し、複合的なトレーニングや運動で転ばない身体づくりを目指しましょう。
