テレビ新広島、放送50年の歴史の中から、あの日のニュースを振り返ります。
今から21年前の2004年10月5日、廿日市市で当時17歳の女子高校生が、自宅に押し入った男に刃物で刺され、殺害される事件がありました。
【若木記者】
「こちらの住宅が今回の事件現場なんですが、死亡した女子高校生は、運ばれた時はすでに血まみれの状態だったということです。住宅では現在も鑑識活動が続けられています」
この事件は廿日市市上平良の住宅に男が押し入り、高校2年生の北口聡美さん当時17歳と、聡美さんの祖母を次々と刺して逃走したものです。
聡美さんは首や胸などを複数回にわたって刺され、出血多量で死亡。
祖母は一時、意識不明の重体でしたが、一命をとりとめました。
しかし、有力な目撃情報がなく警察の捜査は難航。
聡美さんの父親、忠さんは幾度も商業施設などでチラシを配り情報提供を呼びかけましたが、犯人に結び付く手がかりはみつかりませんでした。
事件から14年後の2018年4月、事件は急展開します。
別の暴行事件で逮捕された山口県宇部市に住む当時35歳の男の指紋とDNA型が廿日市市の現場に残された物と一致。男は殺人容疑で逮捕されました。
男は「バイクで広島に行き、行きずりで犯行に及んだ」と計画性を否定。その後の裁判で、無期懲役の判決が言い渡され、2020年、刑が確定しました。
【父親の忠さん】
「残された家族としては、(人数なんか関係なく)、一人の命を奪ったら、その時点で極刑、その頭しかないんで」
最愛の娘を奪われた事件から21年。忠さんは、現在も、犯罪被害者の置かれた立場や命の大切さを訴えるため講演活動を続けています。
(メモ)
聡美さんの父親の北口忠さんは、先月末、21年前の事件について「当時、病院で娘と対面したときの娘の眠るような顔を今でも忘れることはできない」と話していました。
そして、殺害した人数や計画性の有無によって判決が死刑ではなく、無期懲役になったことについて「娘の命を奪った人に対し、処罰感情が薄れることはないが、受け入れるしかない」と悔しさをにじませていました。