富山市郊外の住宅地でクマの目撃情報が相次いでいる。10月3日朝、富山市下大久保の大久保用水で成獣のクマ1頭が目撃され、市や警察、猟友会などがパトロールを行っている。周辺の小学校では児童の安全確保のため、保護者による送迎などの対応が取られている。

住宅地を徘徊するクマ、足跡や痕跡が複数地点で発見

3日午前5時30分頃、富山市下大久保の大久保用水に成獣のクマ1頭がいるという付近住民からの目撃情報があった。

市の担当者や警察、猟友会などが周辺のパトロールを実施し、午後3時半頃にはそこからおよそ5キロ離れた月岡町3丁目でクマの足跡なども発見された。その後もクマの行方を探しているが、現時点では確認されていない。

目撃した住民は「用水の縁を歩いてきてガードレールから上がってきた、畑を横切って、その家の敷地内の前を通って行った」と証言。また「向こうの敷地の端に大きなふんが3、4個あった。クマだと思って通報した」と状況を説明している。

クマの痕跡は富山市上熊野の住宅街でも見つかった。現場では、クマがカキの実を食べたとみられる木や、クマのふんも確認されている。

「7時ごろに新聞を取りに外に出てた時にカキの木の枝が落ちているのを見つけて、おかしいなと思って見に来たらクマのふんを発見した」と住民は話し、「かなり危機感はある」と不安を口にしている。
近隣小学校は安全対策を強化、児童は制限に不満も

この状況を受けて、近くの熊野小学校では保護者に迎えに来てもらい児童を下校させたり、グラウンドの利用を禁止するなどの対応が取られている。

送迎に訪れた保護者は「やはり怖い。近くに出ると」と心配する一方、児童からは「先生が外に出たらダメ。家に帰ったら友達の家に遊びに行ったらダメと言われた。最悪」と制限に不満の声も上がっている。
熊野小学校の森田誠校長は「月曜日からは朝は車での送迎。いつまでか分からないが緊張感を持って対応したい」と今後の対応について説明している。

富山市では2日にも目撃情報があり、エサを求めるクマが歩き回っている可能性が指摘されている。市はこれらの目撃情報は同じ成獣のクマによるものとみて、周辺住民などにクマの出没に警戒するよう呼び掛けている。

富山市森林政策課の杉林広和さんは「近くに潜んでいる可能性があるので確実に戸締りをして、外出の際は周囲を確認して欲しい」と住民に注意を呼びかけている。
近年、人里へのクマの出没が増えている富山県内。特に実りの秋を迎えるこの時期、エサを求めて人里に下りてくるクマに対する警戒が求められている。