JR松山駅新駅舎開業から1年 期待と課題の現在地

「駅を見に来られた方とか、せっかくなのでJRで松山へ行こうかという方が増えた」と語るJR四国営業部の眞鍋秀太業務課長。
約70年ぶりに生まれ変わったJR松山駅の新駅舎が、開業から丸1年を迎えた。
利用者は増加傾向にある一方で、周辺の再開発は道半ばだ。

リニューアルしたJR松山駅
リニューアルしたJR松山駅
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JR松山駅はリニューアルから丸1年

西条から:
「きれいになってびっくりした」
伊予市から:
「かっこいいなと思う」
内子町から:
「まだ工事が多いので、早く工事終わって全体がきれいになればいいかなと思う」
兵庫から:
「何にもない。今も時間を間違えてここで1時間待ちくらいなので、もうちょっと立ち寄れるところがあったらいいなと」

去年約70年ぶりに新しい駅舎に生まれ変わったJR松山駅。リニューアルから丸1年を迎える。

駅周辺は「何もない…」
駅周辺は「何もない…」

JR四国営業部・眞鍋秀太業務課長:
「新しい駅になって、駅を見に来られた方とか、せっかくなのでJRで松山へ行こうかとか、そういう方が増えたんじゃないかと思う」

JR四国によりますと、新駅舎開業後に100キロ圏内の近距離での利用者が、前の年と比べて1割から2割ほど増加したという。

そして新駅舎の開業とともにオープンしたのが、現在17店舗の飲食店や物販店などがテナントとして入る商業エリア「だんだん通り」だ。

荷物を持った方は目立つものの…
荷物を持った方は目立つものの…

一番売れているのは鯛めし弁当

県内の農家直送の野菜などを使った弁当を提供する「オイシイオト」。お店の売れ筋は。

オイシイオト・濱田桂右店長:
「一番売れているのは鯛めし弁当、食べやすい『肉巻きおにぎり』や、『カツサンド』なども人気の商品の1つ」

駅ナカへの出店で、より多くの客層にアプローチできていると出店のメリットを感じている。

オイシイオト・濱田桂右店長:
「利用者の層が違って、県外の方、外国の方もたくさん利用してもらって、地元のおいしい食材を皆さんに知っていただくことができていいなと思う」

地元のおいしい食材を知っていただくことができていいな
地元のおいしい食材を知っていただくことができていいな

山菜を混ぜ込んだもち米にうなぎをのせた「おこわ」が人気

創業以来受け継がれる熟成ダレを使ったうなぎ料理が自慢の「うなぎ小椋」。県外の人にお店を知ってもらうチャンスも広がったという。

うなぎ小椋・小椋安明社長:
「『うなぎを食べる穴場を見つけた』なんて言ってくれるお客さんも中にはいる。うれしいですね」

この店で売れているのも、やはり持ち帰りできる商品。紐を引くだけで、中から蒸気が発生!加熱機能付きの容器で、いつでもアツアツできたてを楽しめる「うな重」や、山菜やギンナンなどを混ぜ込んだもち米にうなぎをのせた「おこわ」などが人気。

うなぎ小椋・小椋安明社長:
「お客さんの数からしたら持ち帰り多いですよ。(他店舗より)10%から15%は多いんじゃないかと思う」

うなぎ小椋・小椋安明社長
うなぎ小椋・小椋安明社長

どちらの店も集客に課題を感じている

出店の効果を感じる一方で、どちらの店も集客に課題を感じている。

うなぎ小椋・小椋安明社長:
「来ていただいたお客様はおいしいと喜んでいただいております。でも僕たちとしたら『もう少し来てほしいな』と。まだ店の前が『駐車場が少なかったり』、『草が生えてたり』とか、もうちょっとみんなでがんばっていただきたいところはあります」

オイシイオト・濱田桂右店長:
「駅の中ということもあり『駅を利用するお客さんに限られてしまう』ので、ほかのお客さんの集客もできたらいいなと思う」

ほかのお客さんの集客もできたら
ほかのお客さんの集客もできたら

開業直後は好調だったものの…

「JR松山駅だんだん通り」全体で見ると、開業直後は好調だったものの…

JR四国事業開発本部・山内崇司担当課長:
「(開業から)3ヶ月経った12月以降新駅、新施設として訪れる方も落ち着いて、若干(売上高が)計画を下回る状況とはなった。鉄道利用者だけじゃない方たちに選ばれる施設、エリアを模索していく必要性はあるかなと考えている」

駅のにぎわいに必要なのがエリア全体のにぎわい。その鍵を握るのが周辺の再開発だ。今の松山駅周辺を歩いてみた。

駅のにぎわいに必要なのがエリア全体のにぎわい
駅のにぎわいに必要なのがエリア全体のにぎわい

駅の東西とも何もない状況

元々の駅玄関口だった松山駅の東口には、旧駅舎が残されたまま。そして東口周辺には新しい交通ターミナル・バスタや商業施設が予定されているが、現状は仮設の駐輪場となっている。

一方、反対側の新しくできた西口。
西口を出て左側の敷地にはアリーナの建設が予定されているが、今は土が積み上げられているのみ。何もないという状況だ。

駅の裏は仮設の駐輪場
駅の裏は仮設の駐輪場

中村知事も苦言を呈する

いまだ再開発の全体像が見えない駅周辺の現状に中村知事も苦言を呈した。
中村知事:
「市がやる、担うという周辺整備と、路面電車の延伸と、こういった事業については何も見えてないと。ともかく今、野原のような状態が続いていたら集客が見込めないので」

駅周辺の再開発の現在地はどうなるのか。にぎわいづくりを担う松山市に聞いた。
松山市交通拠点整備課・有光一成課長:
「西側については現在方針を出している『アリーナ』、また東側についてはにぎわいを生み出すための『民間の開発を促す』、このようなことも松山市の役目だと考えている」

「いまは野原のような状態」
「いまは野原のような状態」

アリーナの予定地は現在更地

駅西側については今年7月、松山市が5000席以上のアリーナとサブアリーナなどを中心に、施設を整備する「基本計画」を策定。
アリーナの予定地は現在更地で、土地の区画や形を整える「造成」が2028年度に完了する予定だ。

松山市交通拠点整備課・有光一成課長:
「令和11年度(2029年度)くらいから着工できたら、最短のスケジュールになるかなと考えております」

アリーナなどを中心に施設を整備する「基本計画」を策定
アリーナなどを中心に施設を整備する「基本計画」を策定

アイデアや意見を募る「サウンディング型市場調査」を行う

駅東側は商業施設やホテル、子供向けのアミューズメント施設などを整備する将来像を去年9月に発表した。
松山市交通拠点整備課・有光一成課長:
「どういったものをここに持ってくることによって、整備することによって、にぎわいが生まれるのか。これから決めていくために意見を聞いてるというような段階」

にぎわいづくりへ、民間の事業者からアイデアや意見を募る「サウンディング型市場調査」を、現在行っている。市は調査結果などを踏まえ、今年度中に再開発のモデルプランを作成する予定だ。

一方、駅東側で動きが見られたのが駅前の「路面電車の電停移設」。
松山市交通拠点整備課・有光一成課長:
「こちらについては関連する工事は、来年度から着工したいと考えている」

計画では新たな電停は現在の場所から、駅舎の方向へ約30メートル移設される予定で、これによって地下道を利用しなくて済むようになるなど、乗り換えがスムーズになりそうだ。

東側には子供向けアミューズ面と施設などを整備する将来像を発表
東側には子供向けアミューズ面と施設などを整備する将来像を発表

街の人たちが望む駅周辺の将来像は

多くの人が待ちわびる松山駅周辺の再開発。街の人たちが望む駅周辺の将来像は。
西条市から:
「子供からお年寄りまで来て、違和感なく楽しめるような場所とかあればいいんじゃないかなと思う」
松山市から:
「基本は交通なので利便性、やっぱり便利であってほしいことと、関西方面、東京とか出る、また逆に来る人、外国人の方も使って、便利な都市の松山の中心になればと思う」

うなぎ小椋・小椋安明社長:
「僕らは食事を通して皆さんにJRに来てよかったな、食事してよかったなと思っていただけるようなお店を作ります。みんなでJR、四国一の松山を、JRをみんなでよくしたいと思う。やはり人が笑顔で行き交うような駅になるとうれしい」

愛媛の玄関口にふさわしい、にぎわいあふれる再開発の一日も早い実現が待たれる。

愛媛の玄関口にふさわしい再開発の実現が待たれる
愛媛の玄関口にふさわしい再開発の実現が待たれる
テレビ愛媛
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