台風15号に伴う竜巻被害を受けた牧之原市への自衛隊の派遣要請をめぐり、鈴木康友 知事が「要件を満たさないため派遣しないという方針だった」と一方的に断られたと受け取れるニュアンスで説明したことについて疑義が生じています。

静岡県牧之原市と吉田町では9月5日、台風15号に伴う国内最大規模の竜巻が発生し、このうち牧之原市では9月30日時点で全壊51棟を含む853棟で住宅被害が確認されています。

静岡県では牧之原市からの要請を受け、災害廃棄物の除去や入浴支援、給食支援について自衛隊に対して2度にわたり災害派遣を打診しましたが、鈴木知事は9月30日の定例記者会見で「自衛隊としては今回の案件については派遣の要件を満たさないということで、派遣しないという方針だった」と一方的に断られたと受け取れる発言をしました。

また、自衛隊の災害派遣は緊急性(状況から見て差し迫った必要性があること)公共性(公共の秩序を維持する観点において妥当性があること)非代替性(自衛隊の部隊等が派遣される以外に適切な手段がないこと)の3つの要件を総合的に勘案して判断し、やむを得ない事態と認められる場合に実施することを原則としていますが、酒井浩行 危機管理監は「3要件に該当しないという回答で、具体的にどの部分に該当しないのかという説明はなかった」と話しています。

これに対し、陸上自衛隊のトップにあたる荒井正芳 陸上幕僚長は10月2日の記者会見で、派遣の打診があった災害廃棄物の除去や入浴支援、給食支援に関してはいずれも「自治体等により対応可能であると(陸上自衛隊 板妻駐屯地)第34普通科連隊と県の間で認識共有がなされた」と事実上の反論をしました。

荒井陸上幕僚長は県と第34普通科連隊との調整の結果、特に非代替性の部分で要件に該当しないとの判断が下されたとの見解を示し、「県も合意している」と強調しています。

その上で、県から正式な災害派遣要請は受けていないことを明かし、事前の調整の段階で双方の認識が一致したことから「災害派遣要請が発出されなかったと承知している」と述べました。

テレビ静岡
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