千葉・鴨川市で、大規模な太陽光発電施設の建設が進められ、東京ドーム32個分の146haに36万5000本の樹木を伐採し、47万枚のパネルを設置する計画があるという。
県は事業者に対し、水質検査や土砂流出防止などで58回の行政指導を行っており、住民は土砂崩れや安全性を懸念して強く反発している。
47万枚の太陽光パネルを設置する計画
千葉・鴨川市の山林で9月23日、カメラが捉えたのは、山の斜面に散乱する伐採された大量の木だ。

作業をするショベルカーが小さく見えるほど広範囲にわたり、森林が切り開かれていた。
ここで今進んでいるのが、大規模な太陽光発電施設「メガソーラー」の開発計画だ。

10月2日正午頃、イット!取材班が現地を訪れた。
取材班:
山の上で黄色いショベルカーが作業しています。
離れた場所からでもはっきりと見えるほど、伐採された木が山積みになっている。作業している様子が確認できた。
開発の許可を出した千葉県によると、開発区域は東京ドーム32個分にあたる約146haだ。36万5000本の樹木を伐採し、47万枚の太陽光パネルを設置する計画だという。

建設に反対する市民団体は2019年に開発の許可が出されたあと、千葉県が審査基準を改正したと指摘した。新しい基準で計画を見直すべきだと訴えている。
鴨川の山と川と海を守る会・勝又國江さん:
全ての計画は2019年時点の県の開発基準にのっとって計画されているので、新しい基準を満たしていないこと自体、もうアウトじゃないか。
この点について千葉県を取材すると、現在事業者が計画の見直しを進めていると回答した。さらに事業者に対し、これまで58回にわたり行政指導を繰り返していることを明らかにした。
その内容は水質検査の実施や施工計画の提出、土砂流出防止対策の実施など幅広い範囲にわたり指導が行われていた。

取材班:
作業をしているすぐ下には民家がたくさんあります。
近隣住民:
あれが土砂崩れやなんかで流れ出したら大変だよね。メガソーラー自体はいいよ。いいけども、そういう安全面がどの程度担保されるのかね。
事業者は現在、伐採された大量の木を保管する「仮置き場」を造成していて、県は設置されるまで仮設の柵を設けて流出対策をとるよう指導したという。
こうした対応について、近くに住む人に話を聞いた。
近隣住民:
「指導しました」で行政は責任逃れになっちゃう。工事中止にするべき。
千葉県は「助言・指導等を行う予定」
県から指導を受けた事業者にも話を聞こうと、番組は公開された住所へ向かった。

取材班:
玄関には粘着テープで張り紙が貼ってあります。
粘着テープで貼られた紙には、手書きで社名が書かれていた。しかし、建物に人の気配はない。
取材班:
もうひとつ隣に建物があります。
同じ敷地内の建物にいたスタッフは「弁護士を通してほしい」と対応するも、現在までに連絡はない。
事業者のホームページは9月29日、「先日行われました、千葉県職員による現地確認のお知らせをいたします」と、写真とともに十分な安全対策をたてて進めていると更新されていた。
千葉県は「開発行為が計画通り適正に行われるよう、引き続き事業者に対して必要な助言・指導等を行っていく」としている。
(「イット!」10月2日放送より)