気温が下がると恋しくなるおでん。
その主役である大根が、小型化する異変に見舞われています。

取材班が向かったのは、東京・品川区の戸越銀座商店街です。

朝晩の肌寒さが身に染みる秋を迎えた今、老舗のおでん専門店で一番人気のネタといえば、だしがたっぷり染み込んだ大根に他なりません。

これからさらに寒くなる冬に向け、おでんの売り上げアップが見込めるはずですが、店からは悲鳴が上がっていました。

後藤蒲鉾店・後藤直美さん:
やっぱり(だいこんの価格は)下がってほしいですよね。冬だいこんおいしいので泣きながらという感じです。

東京での大根の卸売価格を見ると、8月下旬には1kgあたり135円でしたが、わずか1カ月ほどで158円にまで上昇していたのです。

取材した「後藤蒲鉾店」で聞くと、以前は1本200円ほどだった仕入れ値が先週にはその2倍の400円ほどに跳ね上がったといいます。

加えて、2025年の大根は猛暑などの影響で2024年より小ぶりだといいます。

後藤蒲鉾店・後藤直美さん:
だいこんはやっぱり小ぶり。大きいのが出てこないので、やっぱりいきなり小さくなるとお客さんも“えっ”という感じで(驚く)。

大根だけではありません。
値上げの波は同じく、おでんに欠かせない卵にも及んでいました。

東京での鶏卵の卸売価格は2024年と比べ、1kgで50円ほど高くなっています。

そんな値上がりの中、大根と卵をお得に買おうと多くの客が集まる店がありました。

神奈川・大和市にある「もったいない屋 高座渋谷店」では、大根が2024年の2倍近くに値上がりしたにもかかわらず、なぜか大根が飛ぶように売れていました。

この店はフードロスを防ぐため色や形が悪い規格外品を安く仕入れ、格安で販売しています。

正規品の大根Mサイズで180円(税抜き)なのですが、規格外品のLサイズで130円(税抜き)。
大きい大根のほうが50円も安く手に入るという逆転現象が起きていました。

もったいない屋・蛭田直樹さん:
皮をむけば全然平気。かなりお得だと思う。通常だったらだいこんLサイズで230~250円。

さらに店では、購入価格に応じて卵が割り引きされる赤字覚悟の特別セールも行っていて、ダブルでお得。

店の担当者によると、大根と卵の価格はしばらく高止まりが続く見通しだといいます。

秋の食卓に押し寄せる値上げの波に漏れるのは、ため息ばかりです。