「カメレオンに似てる」「顔がおさかなになっている」ーー保育園の保育士2人が2歳の園児について不適切な発言をしていたことがわかりました。

発言はボイスレコーダーに残されていて、福岡市は事実確認を進めています。


〈ボイスレコーダーの音声〉
◆保育士A
「カメレオンに似てる」

◆保育士B
「ほめ言葉よ」
「アンタはさ結んだら痛いとかなんとか言いそうだからいやだ」

これは9月、福岡市内の保育園で録音された保育士2人の発言です。

発言が指しているのは、2歳の園児の女の子のことでした。

◆女の子(2)の母親
「娘の立場に置き換えたら正直、普通じゃいられなくて。許せないなってという感情になったのは初めてだったので、(録音を)聞いたときは涙が止まらなかった」

こう怒りをあらわにするのは女の子の母親です。

娘の様子に異変が起きたのは8月下旬、保育園に通い始めて3ヵ月が経ったころでした。

◆女の子(2)の母親
「最初に入園したときはもう保育園のかばんを見るだけで喜んで、自分で玄関に持って行くという行動をしていたが、9月のちょっと前ぐらいから、『嫌だ嫌だ嫌だ』ってのけぞり返ったり泣いたりすることに違和感を覚えた」

そこで娘が持つ「お守り」にボイスレコーダーを入れて、園に預けることにしました。

娘が帰宅し再生してみると思わぬ内容が…。

〈ボイスレコーダーの音声〉
◆子供
「いやあ!」
◆保育士
「そういう話をお母さんにしてもらいなさい。アンタのお母さんもわめいて言わんかったら、よかことしか言わんけん」

〈ボイスレコーダーの音声〉
◆保育士
(泣いている子供に)「なに、訴えてこないで!」

さらに女児の容姿についても…。

〈ボイスレコーダーの音声〉
◆保育士A
「顔がおさかなになってる」
◆保育士B
「元からこんな顔です」
◆保育士A
「マンボウみたいよ」

◆女の子(2)の母親
「容姿のことをバカにしたり笑ったり。嬉しくないですよね。誰もカメレオンとかマンボウとか言われて。もうバカにしてるじゃないですか」

事態が発覚し、すぐに母親はこの録音を持って園に説明を求めました。

不適切な発言をした保育士は…。

〈ボイスレコーダーの音声〉
◆保育士
「子供たちの前で絶対に言ってはいけないような言葉とか保育をしていたのも事実です。もし自分の子供が園でそのようなことを言われていたら『預けたくないな』と思うような言葉かけをしていたことも事実です。本当に申し訳ございませんでした」

福岡市の子育て支援部指導監査課は事実確認を進めていて、園に対して全職員へのヒアリングなどの結果をまとめた報告書の提出を求めています。

保育について詳しい専門家は…。

◆新潟県立大学子ども学科 小池由佳教授
「保育士としてかけていい言葉だとは思いません。乳幼児期の子どもの育ちは信頼関係が作られていったりプラスに働く経験をしていくことが学童期につながっていくのでそういう場であってほしい」

今回の不適切保育についてこう指摘した上で、虐待に比べて表面化しにくいとも話します。

◆新潟県立大学子ども学科 小池由佳教授
「不適切保育は日常に溶け込んでしまっている。おかしいなと思ってもそのまま来てしまっている。適切なかかわり方がどういうものなのかというのを、もう一回(保育士)一人一人が見直していくのというのが必要」

園はTNCの取材に対し「不適切な指導があったことは確認していて、当該の人物については出勤を停止している」と説明しました。

一方、他の保護者への詳細な説明はなされていません。

◆女の子(2)の母親
「(保育士)本人は『他の子たちに対しても言っていた』と話していて、保護者に対して謝罪と説明を隠蔽はせずにするのが責任の取り方だと思っているのでそれはしてほしい」

虐待を見つけた場合は自治体に通報義務化 10月から

国は3年前に初めて実態調査を行い、その結果、全国の保育所で脅迫的な言葉がけなどの「不適切保育」が914件あり、このうち90件は「虐待」と確認されたということです。

こうした結果を受けて法律が改正され、10月1日から保育所などで職員による虐待を見つけた場合、自治体に通報することが義務化されます。

テレビ西日本
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