カーリングのミックスダブルス日本代表決定戦が9月28日行われました。ミラノ・コルティナ五輪の日本代表を決定する大一番で、松村千秋選手と谷田康真選手は、小穴桃里選手、青木豪選手に敗れ五輪への道が絶たれました。リンク上で大粒の涙を流した松村選手…口にした言葉には「道」を作ってきたこその重みがありました。

 ◇松村千秋選手
「悔しいです…大会はすごく楽しかったです、この場に立てて皆さんに試合を見てもらえて本当に幸せだなと思います」

 ◇谷田康真選手
「世界選手権でメダルを獲れたり、五輪を見える位置で決定戦を戦えたり、この道を歩んで専念しなければ見られないものがたくさん見えた。人生の財産になる4シーズンになった」

 2018年平昌五輪から正式種目として採用されたカーリングのミックスダブルス。4人制と比べ認知度が低かった時期に、ミックスダブルスで世界を狙うと表明したのが松村・谷田の2人でした。女子強豪チーム、中部電力の松村千秋選手と日本代表チーム、コンサドーレに所属していた谷田康真選手。谷田選手が日本代表チームを去ってまで松村選手を誘ったのがきっかけでした。

 当時は「カーリング=4人制」のイメージが強く、ミックスダブルスの大会に出場した選手のほとんどは4人制がメイン。軸足をミックスダブルスに置く選手はまだほとんどいません。だからこそ2人からは周囲のサポートに感謝し「専念させてもらっている」と謙虚な言葉が並んでいました。

 松村・谷田の2人は“ミックスダブルスの歴史”を作っていきます。敗退こそしましたが五輪初出場に近づいた2021年北京五輪世界最終予選。2023年世界選手権で銀メダル獲得。世界トップクラスのペアへと階段を上っていきました。「チアキ」「ヤスマサ」から「チャッスー」という愛称も生まれ、ミックスダブルスという種目の裾野も広がっていきました。

 そして、迎えたミラノ・コルティナ五輪、世界最終予選代表決定戦。まだ見ぬ五輪という舞台に向け2人は戦いました。ただその前にライバルの小穴・青木組。冬季アジア競技大会で金メダルを獲得するなど松村・谷田の背中を追ってきた2人が立ちはだかりました。

 ◇谷田康真選手
「勝ちに繋げられるゲーム展開の中で、最後自分たちが決められなかった。相手が勝負所で良いショットを決めてきた。相手がうまかった。結果的に五輪の道は絶たれましたけども、僕としては非常に楽しい大会でしたし満足しています。(小穴・青木は)必ず五輪に行ってくれると思いますし、僕は全力で応援したい」

 ◇松村千秋選手
「私たちも小穴・青木がいたからレベルアップすることができましたし2人は大好きなペア。私たちが果たせなかった五輪という目標に全力で向かって欲しいです。私たちもチームジャパンとして応援したい。谷田選手とダブルスを組むと決めてから、ここまで辛い経験もありましたけど、カーリング選手、人として成長させてもらった4年間でした。夢を追いかけることができたのも、このチームだったからだと思う。今までやってきたことは間違ってなかったと思っています」

 ミックスダブルスに専念し「道」を切り開いてきた松村・谷田の2人。第一線で活躍してくれたからこそ、この種目の面白さに気づかされた方も多いのではと想像する。松村選手は“皆さんに試合を見てもらえて本当に幸せ”と涙ながらに話していたが“こちらこそ面白い試合をありがとう”と伝えたい。


写真提供(C)JCA /H.IDE

北海道文化放送
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