札幌市に9月22日、市内で2つ目となる児童相談所が開設された。
施設ができた背景には2019年、2歳の女の子が虐待で亡くなった事件があった。
人口約196万人の札幌市。このうち10人に1人が18歳未満だが、市内にはこれまでたった一つしか児童相談所がなかった。
22日、市内で2つ目となる施設が白石区に誕生した。「札幌市東部児童相談所」だ。

東部児童相談所の担当区域
東部児童相談所が担当するのは豊平区、白石区、厚別区、清田区。この4区で起きた問題を把握し、子供やその家族を支援する。
「虐待の通報も市民の意識が高まって(通報)してくれた。駆けつけるのに時間がかかっていたが今後はスムーズに対応できる」(東部児童相談所 森岡祥広家庭支援課長)

施設には36人の子供を保護することができる「一時保護所」が設けられた。

職員が子供や親と話をする面談室は10部屋。

「おやこ支援ルーム」はマジックミラー越しに子供と親がどうしているか分かる。

「隣の部屋の話し合いの様子をこちらの画面越しに確認することができます」(中村真也記者)
別室のモニターで捜査関係者らが子供の様子を確認できる「司法面接室」。

司法面接室の利点
カメラで記録することで子供への事情聴取を繰り返さず、子供の負担を減らすことができる。
福祉施設としては北海道で初めて導入された。
無理やり子供を連れ帰ろうとする親との接触を避けるため、セキュリティも完備されている。

池田詩梨ちゃんが衰弱死した事件
「2019年に女子児童が亡くなった痛ましい事故があった。急ピッチで(施設を)つくらなければならなかった」(森岡課長)
2019年6月、札幌市で当時2歳だった池田詩梨ちゃんが衰弱死した。
詩梨ちゃんは母親や交際相手の男から暴行などを受けていて、体にはやけどの痕やあざなどが残されていた。

事件を機に札幌市では児童虐待の相談が急増し、この年以降毎年2000件を超えている。

「(事故防止のために)もう少しいろんな方面からつながることができたんじゃないか。孤立させないことが大切」(保育園ペンタゴン 三箇智子主任保育士)
札幌市でも数少ない24時間保育を行っている「保育園ペンタゴン」だ。

東部児童相談所の現状
「児童福祉司だったりとか専門職の不足はやっぱりある」
「職員側も育っていく必要があると思うので保育園でも研修をして職員を育てている」(いずれも三箇主任保育士)
東部児童相談所のスタッフは約120人。
保育施設や学校、警察などの関係機関と迅速で密な連携が求められている。
