任期満了に伴って10月5日に投票が行われる岡山市長選挙を前に、9月29日から岡山市政の課題についてシリーズでお伝えします。1回目の29日は「新アリーナ構想」です。

岡山市長選挙に立候補しているのは、届け出順に現職で4選を目指す大森雅夫さん(71)、市民団体役員の向谷千鳥さん(67)、元岡山県警・警部補の神崎政人さん(37)、元岡山市議会議長の浦上雅彦さん(60)の4人です。

(竹下美保記者)
「岡山市が進める新アリーナ構想こちらが建設予定地。建築費は275億円から280億円となっていますが、事業のゴーサインはでていません。アリーナの行方はどうなるのでしょうか」

経済界やスポーツ界の要望を受け、岡山市が進めている新アリーナ構想。市は、岡山県に費用の一部負担を求めていましたが事業に参画せず、岡山市単独の事業となりました。

当初は、客席数5000席以上、総事業費は約145億円を見込んでいましたが、適正な規模を検討した結果、最大収容人数を1万人に拡大。物価高騰の影響もあり建設費用は当初の2倍近い約280億円に膨らみました。

市は、国の補助金などで180億円を。残りの100億円には、企業の寄付金と一般財源をあてるとしています。市は経済波及効果を20年間で2800億円と試算していますが、この数字には中四国最大規模のメインアリーナを備える高松市の「あなぶきアリーナ香川」のオープンが加味されていません。

専門家は、岡山市単独の厳しさを指摘します。

(岡山大学 中村良平名誉教授)
「直接、間接的に、市民が負担していくことには変わりない、高松市のアリーナとの根本的な違いは、県。こちらは市なので、負担している人数が変わってくる」

アリーナ建設の賛否は、現職と新人で対立しています。

(大森雅夫候補<無・現>)
「企業からの寄付をもらってゴーサインを出したい」

(向谷千鳥候補<無・新>)
「新アリーナ建設を白紙撤回させると第一義的に掲げたい」

(神崎政人候補<無・新>)
「白紙撤回する。岡山市は優先するべき課題があるのではないかが一番のポイント」

(浦上雅彦候補<無・新>)
「いったん白紙、中止にして、もう一度、より丁寧に市民の皆さんの意見を聞き直したい」

現職の大森雅夫さんは、岡山のプロスポーツを応援し市民が誇りを醸成するためにアリーナは必要な施設と訴え、企業の寄付金集めにも奔走します。

(大森雅夫候補)
「新しい施設を作ってバレー・バスケ、存分にできるようにして、われわれのワクワク感も高めていく。市民の皆さんの税金だけで対応していくのはどうかということもあり、今、企業に寄付をお願いできないかと」

子育て経験もある向谷千鳥さんは、「市民のくらしが第一」と訴え、アリーナ建設は、既存の施設の改修などで対応するべきだと主張します。

(向谷千鳥候補)
「岡山市の水道料金を考える会の運動をしてきた。ここで水道料金の値上げはないだろうと市民の声を聞いてきた。アリーナより生活道路優先してほしい。公共交通、市街地はどうなんだと問わないといけない」

神崎政人さんは、岡山県警の警察官時代、高齢者の孤独死の実態に触れた経験から、アリーナに代わって高齢者などの受け皿となる複合福祉施設の整備を提案しています。

(神崎政人候補)
「複合福祉施設を作ることで雇用も生まれるし、経済的にも社会的にも市民の幸せを高めることができる。市民の声を聞きながら、アリーナの廃止も場合によっては、住民投票も視野に入れながら進めていきたい」

新アリーナ構想は最初から市民不在だったと主張する浦上雅彦さんは、サッカーの新スタジアムを望む声も聞きながら、アリーナにとどまらずスタジアムも含んだ施設の検討を訴えます。

(浦上雅彦候補)
「2つはなかなかできない。同じ場所で、電動でスタジアムとアリーナになるのがある。すごいと思っていて、これは誰も傷つかない、それを造るか、何もしないか。市民の民意に寄り添う。県と歩調を合わせる」

岡山市長選挙は10月5日に投票が行われ、即日開票されます。

岡山放送
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