静岡県伊東市の田久保眞紀 市長は9月29日の定例記者会見で市長の略歴確認を厳格化するルールを設けることを発表しました。一方で、疑惑の“卒業証書”への質問については回答を拒否しています。
開始直前に田久保市長が机の上にセットしていたのは田久保市長自身のスマートフォン。約30秒後、スマホの操作を終えて会見を始めました。
記者:
何を撮っているんですか?市長自身を撮って、SNS用に定例会見の様子を録画しているということ?
伊東市・田久保眞紀 市長:
いえ、まだどう扱うか決めていませんが、私自身の発言も含め、記録で撮らせていただいています
市長自らが「記録を残す」という異例の展開で始まった記者会見。発表されたひとつが、新たな市長が就任した際の略歴確認の厳格化です。
今後、卒業証明書などの公的文書の提出を義務付けます。
田久保市長の“学歴詐称”問題をきっかけに百条委員会の設置や不信任の議決、さらに議会の解散と混迷が続く伊東市政。
今回のルール作りについて田久保市長は「手続きの効率化のため」だと説明しました。
記者:
市長自身の学歴問題が今回の決定のきっかけに?
伊東市・田久保眞紀 市長:
きっかけとしてはありますが、事務手続きを整えることでスムーズになるので今回手続きを整理しました
伊東市によりますと、この手続きは県内で初の事例になるということです。
10月1日から実施し、田久保市長は高校の卒業証明書を提出する予定です。
一方、“学歴詐称”問題の核心部分ともいえるのが、田久保市長が前の議長や市の職員などに大学の“卒業証書”と説明して示した書類です。
記者:
ご自身の“卒業証書”を公開せず要領の制定は論点ずらしでは?
伊東市・田久保眞紀 市長:
「論点ずらしとしか思えない」というご意見は承りますが、市長としてはできるだけ担当課の事務手続きを整理し、簡略化するのは仕事の一つで特に問題はないと思う
また、その書類について田久保市長は「自分でも調べる」と語っていましたが…。
記者:
“卒業証書”への調査はいまどんな状況?
伊東市・田久保眞紀 市長:
質問は議題に沿ったものでよろしくお願いします。また、刑事告発に関することは一切発言できない立場だと何度も申し入れをしていますので、そこはご理解いただきたい
現状について「刑事告発されていること」を理由に回答を拒否しました。
田久保市長の姿勢を疑問視する声は同じ伊豆半島の自治体のトップからも挙がっています。
河津町・岸重宏 町長:
いろいろな機会を通して説明することが市民の不安を取り除くことになり、選挙で負託を受け、その責任として重要なこと
松崎町・深澤準弥 町長:
公人なので疑惑であろうといろいろな形で発信をするのは非常に重要。こちらとして答えられる答えられないは別として、真摯に町民(市民)の目線も意識しながら答えるべきだと思う
市や町のトップは広域防災など周辺の自治体とは連携が必要になりますが、田久保市長は必要な連絡はとれていて特に問題はないとの認識を示しています。
田久保市長の就任から4カ月。混迷が収まる兆しはみえていません。