ノーベル賞のパロディとして知られ、毎年ユニークな研究が選ばれる「イグ・ノーベル賞」。2025年は日本の研究チームの「シマウシ」の研究が受賞した。実は、同じ「シマウシ」の実証実験を山形県内でも行っていた過去がある。

シマシマ模様のウシ
シマシマ模様のウシ
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ウシがシマウマに見えるシマシマ模様で虫よけ

9月18日にイグ・ノーベル賞生物学賞を受賞したのは、農業・食品産業技術総合研究機構の研究員などでつくるチーム。

「世界に冠たる一流の研究組織」を目指す農業・食品産業技術総合研究機構がイグ・ノーベル賞生物学賞を受賞
「世界に冠たる一流の研究組織」を目指す農業・食品産業技術総合研究機構がイグ・ノーベル賞生物学賞を受賞

農業・食品産業技術総合研究機構 兒嶋朋貴さん:
ウシにシマウマのような模様を描くことで、吸血性のハエがとまるのを防ぐ。

アメリカでの授賞式でスピーチする兒嶋さん。ジャケットを脱ぐとシマウシを連想させるシマシマのシャツ
アメリカでの授賞式でスピーチする兒嶋さん。ジャケットを脱ぐとシマウシを連想させるシマシマのシャツ

この研究チームは、「シマウマの縞模様には虫よけの効果がある」という海外の研究結果をもとに、黒毛のウシに縞模様をつけた「シマウシ」は“模様のないウシ”と比べて、虫のつく数が半分ほどに減ることを検証で明らかにした。

スピーチの最中、共同研究者たちが虫の絵をつけた棒を振って、虫がたかる演出をしていた
スピーチの最中、共同研究者たちが虫の絵をつけた棒を振って、虫がたかる演出をしていた

手間・コストかかり米沢では実用化ならず

虫を介した感染症の予防や、血を吸われることによるウシのストレスを軽減する効果が期待されているこの研究。

実は、米沢牛の産地・置賜地方で過去に実証実験が行われていた。

今から4年前の2021年に小国町の牧場でも実証実験が行われていた
今から4年前の2021年に小国町の牧場でも実証実験が行われていた

リポート:
牛舎の中でひときわ目立つシマウマ模様。
「どうしてシマウマが?」と思ってしまいますが、実はこちらもウシなんです。

黒毛のウシの中にシマウマ…ではなく、シマシマのウシ!
黒毛のウシの中にシマウマ…ではなく、シマシマのウシ!

実証実験は、置賜総合支庁が小国町の畜産農家と協力して2021年から3年間行われていた。
その結果、虫を避けるための「首や尻尾を振る行動が約7割減ったこと」が確認されたという。

ウシに縞模様をつける作業の1コマ
ウシに縞模様をつける作業の1コマ

実験は当初、「虫が多く、放牧ができない場合に有効なのではないか」と仮説を立てて行われた。

しかし、ウシを縞模様に塗る作業に、予想以上に手間とコストがかかることがわかり、これまでのところ実用化には至っていないという。

動くウシ相手に縞模様を塗る作業は大変そう。そして縞模様がどのくらい日持ちしたのかも気になる
動くウシ相手に縞模様を塗る作業は大変そう。そして縞模様がどのくらい日持ちしたのかも気になる

「ウシをシマシマに塗る」というユニークな研究。

置賜総合支庁は当時リーフレットを作るなどして広報に力を入れたこともあり、担当者は今回の受賞について「ちょっとうれしいですね」と話していた。

シマシマ模様の虫よけ効果がウマ・ウシ以外のほかの動物にも有効なのだろうか…
シマシマ模様の虫よけ効果がウマ・ウシ以外のほかの動物にも有効なのだろうか…

イグ・ノーベル賞を受賞した研究と同様の実証実験が県内でも行われていたのは、何だかうれしい。

(さくらんぼテレビ)

さくらんぼテレビ
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