防衛力の抜本的強化に関する有識者会議は19日、原子力潜水艦の導入も念頭に置いた「次世代の動力の技術開発」の実施や、友好国への防衛装備輸出に制限を設けないことなどを提案する報告書を、中谷防衛相に提出した。
報告書は、ロシアによるウクライナ侵略や日本の周辺国が活動を活発化させていることなどを挙げ、技術革新が「すでに戦場での戦い方を大きく変えている」として新たな戦い方への対応の必要性を指摘した。
そのうえで、一例としてミサイル垂直発射システムを搭載する潜水艦について「長射程のミサイルを搭載し、長距離・長期間の移動や潜航を行うことができるようにすることが望ましい」とし、原子力潜水艦の導入も念頭に「従来の例にとらわれることなく、次世代の動力を活用する技術開発を行っていくべきである」との考えを示した。
また、装備品などの国内生産の基盤強化とともに、装備移転を進めるために「我が国と友好関係にあり、自由や民主主義といった価値観を有し、他国から脅威を受けている国への装備の移転については、制限を設けないとする考え方」も提案された。
防衛費について新たな数字の明記はされなかったものの、「GDP(国内総生産)の2%の指標も、国家意思を示すものとして重要である」としつつ、「更なる防衛力の強化のために必要な対応について、明確な根拠を示しながら説明していくべきである」と記した。
有識者会議の座長を務める榊原定征経団連名誉会長は、中谷防衛相への報告書提出後に取材に応じ、「次の内閣も含めて報告書を真摯に受け止めて、今後の政策を推進してほしい」と強調した。